西澤保彦さんトークショーレポート

本の学校の桜が咲きほころぶ3月29日に、作家・西澤保彦さんのトークショーを行いました。
実業之日本社で西澤さんをご担当されている編集の上田さんにもご同席いただき、人気の腕貫探偵シリーズについてお話をうかがいました。

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西澤先生は、そもそもはSF作家になりたかったんだそうです。
が、当時SF作家の登竜門となるような新人賞がほとんどなくて、鮎川哲也賞に応募され、それが最終選考まで残ったんだそうです。
これをきっかけに本格ミステリー作家を目指して見ようと思ったとおっしゃってました。
SF的な設定を用いることで、新しいミステリーの形になるというお気持ちもあったそうです。

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腕貫探偵が出来た面白い経緯も教えて下さいました。
遡ること14年前、とあるパーティーで作家の鯨統一郎さんとご一緒になったそう。
その席上で、鯨さんと2ショットの写真を撮られたそうで、周りの人から「ふたりとも雰囲気似てるよね、事務のおじさんって感じだよね。腕貫をはめたことあるんじゃない?」と言われんだとか。
実際に教務助手で事務仕事もやったことはあるけれど、流石に使ったことはないな~と返事されたそうですが、「でも鯨さんは似合うよな~」と思われたんだとか。
その後ある時、ファンサイトでその話が蒸し返されたことがあり、「本当の事務員で腕貫はめていて、悩んでいる人の相談に乗るんだけど、すごくお役所仕事でぜんぜんやる気のない探偵ってどうですか?」という提案がされたそうです。
偶然その掲示板を見ていた実業之日本社の編集担当さん(当時)が面白がって「あれウチで書きませんか?」という話になったんだそうです。
どこでなにが繋がるか分かりませんね。

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そういった経緯から、当初腕貫さんのイメージは鯨さんがモデルで、1回だけの読み切りの予定だったそう。
基本コンセプトがやる気のない公務員で、事件に付き合ってあげる義務はありません、相談に来られたからアドバイスはするけど、あとは自分で考えてね。というしばりが厳しかったのでシリーズ化は全く考えてなかったんだとか。
だから「第1集のラストでは腕貫さんが相談者の悩みに丁寧に応えてて優しくなってるんだよね」っておっしゃってました。

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ノベルス版の表紙は漫画家のとり・みきさん。こんな表紙だったんですよ~と見せてくださいました。
現在の表紙は平沢下戸さん。「私のリクエストでイケメンに描いてもらいました」と編集の上田さん(笑)

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『必然という名の偶然』を執筆なさっている途中で、編集担当が現在の上田さんになったそうです。
最新刊『探偵が腕貫を外すとき』の最後のシーンは当初は腕貫さんが謎を解いて終わっていたんだそう。
ところが上田さんから「せっかく住吉ユリエが主役なので、ぜひ最後いい雰囲気にしてもらえませんか」とお電話があったそうなんです。
ただ、実は上田さんも「最後に断絶的に話が終わるのは西澤さんの手法で、読み終わったあとはその後を想像をするのが読者のみなさんの楽しみでもあるかなと思っていたので、そうお願いするのはとても迷いました。」とおっしゃってました。

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質問コーナーでは、参加者のみなさんからの質問が次々と!
腕貫さんの本来の職場の特徴を活かした今後のストーリーの展開など、西澤さんも「おぉ~!」とおっしゃる質問もありました。

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サイン会でもおひとりお一人とじっくりお話をなさってました。
ファンのみなさんは嬉しかったでしょうね~

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IMAIBOOKSへもサインをお願いしたのですが・・・
西澤さん、なにやらイラストを・・・

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じゃーん!なんと、ペイジのイラストを描いてくださいました!
初めてご覧になったのに、なかなかお上手です。
西澤保彦さん、貴重なお話をどうもありがとうございました!
次回作も楽しみにしています~

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