松本侑子さんトークショーレポート

さわやかな新緑が輝く5月17日に、出雲市ご出身の作家・松本侑子先生をお招きし、名作『赤毛のアン』についてお話をしていただきました。
『赤毛のアン』を初めて訳注つき全文訳なさった松本侑子先生ですから、どんなステキなお話が飛び出すのかと、会場のお客様も始まる前から楽しみになさってる様子でした。

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名作中の名作『赤毛のアン』ですから、子どもの頃から何度も読み返したという女性は多いはず。
松本侑子先生もそんなお一人だったそうです。
子どもの頃、出雲の本屋さんで村岡花子先生訳の本をご購入され、進学でご実家を離れる際も大事に全巻持ってお引っ越しされたんだとか。
そんな松本侑子先生のもとに、出版社から『赤毛のアン』の翻訳依頼があったのは運命だったんでしょう。

翻訳の依頼があったものの、「村岡先生のすばらしい名訳があるのですから」と最初はお断りになったそうです。
しかし、「そういえば原書で読んだことがないわ」とそれをきっかけにペーパーバックを購入され、その帰り道本を開いたところ、実は最初の1ページから訳してなかったことが判明。
村岡先生の訳は全文訳ではなかったのです。
そこで、全文訳と知らなかったので一度お断りされたお話を、全文訳という形でお引き受けになられたそうです。
この運命の巡り合わせのようなお話を伺って、聞いている私たちもとても感動しました。

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トークショーの中では、こんな貴重なことも。
第5章で、男の子が来ると思っていたマリラが、アンを連れてスペンサー婦人のところへ行くシーンがあります。
道すがらアンが自身の生い立ちを語るシーンを、なんと松本侑子先生ご自身が朗読してくださいました!
しかも、アンのセリフの部分とマリラのセリフの部分の声色を変えて!
感激のシーンでした。

『赤毛のアン』には、シェークスピア劇やアーサー王伝説、聖書などからの引用が多数出てきます。
その引用を探すのにとても時間と労力、そして苦労をなさったお話、
また、マシューもマリラもアンも実はスコットランド人であること、そしてそれぞれの名前が、キリスト教の聖なる愛で結ばれた真実の家族であるという由来も教えて下さいました。

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トークショーの後には、サイン会もしていただきました。
当日は女性のお客様が非常に多く、松本先生とのお話にも花が咲いていました。

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このにこやかな笑顔に、益々ファンになった方も多いのでは?

短い時間でしたが、私たちも初めて知る『赤毛のアン』の秘密に胸が踊るひとときでした。
松本侑子先生、貴重なお話をありがとうございました。


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日本初の全文訳・訳注付き
■赤毛のアン
モンゴメリ著 松本侑子訳 集英社文庫 ¥800(税別)

 
※文章・画像の無断転載・複製を禁止します。

 

 

 

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