『胸の小箱』刊行記念 浜田真理子さんインタビュー

島根県松江市在住でマイペースな活動を続ける女性シンガー浜田真理子さん。
とはいえ、その活動は全国的で、幅広く活躍なさっているのはみなさんご承知の通り。
そんな真理子さんが、約15年前のファーストアルバムを出すちょっと前まで遡り、これまでの人生を綴った自伝エッセイ『胸の小箱』をこの度出版なさいました。
地元の様々な風景も感じられるエッセイは、ひとりの女性の生きた証。
真理子さんに、本に込めた思いをうかがいました。

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|いろんな人にお世話になって生きて来たなぁ

イマイブックス(以下「イ」):真理子さんは音楽はもちろんですが、本もたくさんお読みになるとうかがいましたので、今日はお店に来ていただきました。
よろしくお願いします。

浜田真理子(以下「浜」):よろしくお願いします。

イ:今回の本は、本の雑誌のサイトの連載などをまとめたものですよね。
ゲラの段階で、一足お先に読ませていただきました。

浜:実は、ゲラから更に書き直して、実際の本はまた色々違うんですよ(笑)

イ:え!?そうなんですか?楽しみだなぁ~
今、1冊の本の形になって心に湧く思いなどはありますか?

浜:そうですね。この本を読む人・・・
元気がない人 とか、今自分はダメだと思っている人 とか、不幸だなって思っている人がもしもいたら、
読んで、こういうことがあっても全然元気だよ、いろんなことがあるけど大丈夫だよ、
って思って読んで貰えたら・・・
私も今本になって読み返して、
体調も悪くなったし、失恋もしたし、お金もないし、仕事もダメだったし、全然いいことないなって思いながら読んでました。
でも、仲間がいれば楽しいなってことや、いろんな人にお世話になって生きて来たなぁって改めて思いましたね。
バブルもみんなで乗り越え(笑)、昭和から平成になり、あの浮かれてた時代はなんだったんだろうって思いながら。(笑)

イ:仲間って今おっしゃいましたが、本に出てくる人たちが、フィクションでもないのに、すごく個性的というか、奇蹟的な出会いをすごく重ねていらっしゃって、出会うべくして出会ったみたいな

浜:そうですね。
その人が何かすごく特別な人で、特殊な能力があるわけではないけど、「この人面白いなぁ~」って出会う時に思うんですよね。
特に変わってる人とか好きだし(笑)
変な人だからやめようじゃなくて、「うわー!変わってる!面白い!」て思うタイプだから。
すごく特別なことを経験している訳じゃないんですよ。
だけど、後になって考えてみれば、誰にでもある・・・親が離婚したとか、父親が借金したとか、フラれるとか、そんなことみんなよくあることで。
でも、ひとつひとつすごく一所懸命だったなぁ、頑張ったなぁって。

イ:読んでると真理子さんのタイミングと同じようなところでうるっとなったり、鼻がツンとしたりしました。
でも、真理子さん流のウィットに飛んだところも随所にみられて

浜:ウィットではないけど、なにかオチがないと(笑)
私も、かっこいいままでは終われないところもあって(笑)
笑ったり泣いたりしていただければいいかなぁと。
人生ってそうじゃないですか。
別に嫌なことばっかりじゃないし、いいことばかりでもないし。

イ:うん、そうですね。

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|川上さんが「絶対出した方がいいよ」って

イ:今回、帯に小説家の川上弘美さんのコメントが!

浜:そう!みんなが「なんで?」って言うんですよ。(笑)
去年、一昨年、一緒に仕事をさせていただいて。
元々、小泉今日子さんが『センセイの鞄』っていう川上さんの本が原作の映画に出演されて、それが久世光彦さんの映画だったんですね。
その繋がりから、「マイ・ラスト・ソング」を見に来ていただいて知り合いました。
それから福島のイベントで再会して、一緒にお酒も飲むようになって。
その時、「Web(本の雑誌の連載)読んでるよ」って言われて。
私もまだ本にするかしないかってところだったんですよ、その時。
連載する前に、本当は本にするって前提で始めたんだけど、ずっと書いてるうちに本当に出来るのかなって段々不安になってきて、こんなの本当に出していいのかなぁってグラグラしてきてたんです。
ちょうど夏くらいに。
そんな風に悩んでたときに、川上さんが「絶対出した方がいいよ」って背中を押してくださって、
「じゃぁ、私が帯書いてあげる」って勢いで(笑)
多分、励ましてくれたんだと思うんだけど、言ってくださって。
川上さんってあまり本の帯とか書かれないんですって。
「私あまり書かないんだよ」って言われて、
「今まで書いたのは、スパゲティナポリタンの本と、めずらしいキノコの本と、脳の写真の本と、とにかく私が好きなものにしか書かないんだよ」って言ってくださったんです。
一体どんな言葉を書いて下さるんだろうとドキドキしてたんだけど、すごく嬉しいことを書いてくださって。

イ:そうだったんですね。最初に見たときに「帯、川上弘美さんだよ!すごい!!」ってみんなで盛り上がりました(笑)

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|言葉にすることですごく考えがまとまる

イ:これまでシンガーソングライターとしてたくさんの楽曲を作って来られましたが、今回本を書くという表現方法はいかがでしたか?

浜:元々、細ごま書くことが好きで、日記とかも書いてるし、読書日記に感想文書いたり、育児日記つけたり、そうしてまとめておかないと忘れるっていう(笑)
書くといろいろ考えるし、頭でぼーっと考えているより、言葉にすることですごく考えがまとまる、整頓される気がして。
それが好きで、個人的には書いてたんですよ。
でも、それを1冊にする、本にするって、すごく先まで見越して書かないといけないから、そんなことが出来るどうか分からなくて、連載をお試しで始めてみたって感じです。
歌とはまた全然違う手法で・・・
私の歌はどっちかというとシンプルなので。
削って削って、引いて引いて引いて、俳句みたいにして作っていく作業なんですけど

イ:真理子さんの曲作りは詞が先?

浜:うん、詞が先で、言葉があってそれにメロディを後で乗せる。
もう今となっては古いタイプなんだって。
昔はみんなそうでしたけど、作詞家の人が作曲家の人に渡してメロディをつけるのが普通だった。
シンガーソングライターの時代になってから、メロディだったりコードが先にあって、後で言葉をつけるみたいな。
そうすると言葉の抑揚とか、イントネーションが逆になったりするんですね。
それが味な人もいらっしゃるんですけど、私はまぁ古い人間なので古風なやり方で(笑)
歌詞をすごく短く五・七・五みたいにしてやっていくんですね。
でも、本の時って書こうと思えばいくらでも長くできるけど、その上で無駄なことを省くとか、どうしても書いておかなきゃならないことを言葉を研ぎ澄ませて書くとか、すっごく大変なことだなって思って。
まぁ、思い出話だから小説みたいな感じではないんですけど、難しいなぁというか。

イ:思い出話といっても、すごく鮮明ですよね。

浜:言われます(笑)

イ:玉造のところとか鮮明で、すごく伝わるなぁと思ってたんですけど。

浜:やっぱり玉造の出来事のころも細ごま書いてたと思うんですよ。
なので、1回整理してあるので、漠然と思い出して書くというよりは、あの頃書いた内容をもう1回書くような感じ。
ブログ書いてて途中で消えちゃって、もう1回書かなきゃいけない時にスラスラ書ける、あんな風な(笑)
私、子どもの時の記憶がものすごく鮮明にあるタイプで、妹とかに聞くと小学生の頃の記憶なんて全然ないって言うんだけど、私は結構3歳、4歳の記憶もある。
でも昨日のことは思い出せない(笑)

一同:(笑)

浜:特に歳を重ねたせいか、どんどん鮮明に、美しくなっていくところもあると思います(笑)
他人から見たら「いや、違ったよ」って、同級生とかは言うけど、私の中ではそういう風に。

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|私たちの場合は、「やればなんとかなる!」(笑)

イ:1990年代の空気が・・・

浜:バブルの(笑)

イ:におってくるみたいな(笑)

浜:バブルを知らない生まれた時から不景気な人にあの空気感を伝えるっていうのは、難しいかもしれませんね。
あの頃は、ジャズピアニストになりますみたいなことを言ってもそんなに変とは言われない。
今みたいに100社受けても受からないみたいな感じじゃなくて、やっぱり売り手市場だったんで。
もう1万円が飛び交う世界で、1曲弾いてチップが1万円とか、そういうのが普通な時だったよね。
最近、私たちの年代がバブル世代とか言われるようになっちゃって(笑)
若い人たちにすぐバブルの自慢するっていうね(笑)
今の若い人たちは堅実よね。個人年金に入ってたりね。
私たちの場合は、「やればなんとかなる!」とか(笑)

イ:将来のこととかもね

浜:考えてないしね(笑)
嫌だったら今の仕事辞めて、違う仕事に変われば?とかね。
そういう時代感っていうのを端々に・・・経済学者でも社会学者でもないから、正面から語ることはできないけど、人々の生活の中にそういうことがあって、東京行ってピアニストになりますって言っても、大学の先生が「まぁ、そういうなら仕方ない」みたいなときでもありましたね。
機会均等法の1年生だったので、出世も出来るよって。
それこそメイクも太い眉毛でみんな頑張ってた(笑)

イ:その頃のことが真理子さんの言葉で記録されるっていうのも嬉しいですね。

浜:例えば、玉造も良かった頃と、段々ダメになって、また今はすごくいいじゃないですか。
本にも出てきますけど、最近、玉造を父親と歩いた時も昔とまた全然違う町になってて、それはすごくいいんだけど、あー、やっぱりあの時は昭和だったんだって(笑)

イ:では、最後に読者のみなさんにメッセージを。

浜:こんなヘタレでも全然元気に生きていけますので、
あまり暗くならずに、とにかく生活にユーモアを持ってね、自分を笑って生きていけばいいんじゃないかと思います。
・・・全然かっこいいこと言えない(笑)
「そう来たか!」「えー!?」って言ってる間に過ぎちゃうので。なんでも嫌なことは。

イ:今日は貴重なお話をありがとうございました。
またサイン会もよろしくお願いします。

浜:こちらこそ、ありがとうございました。

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【浜田真理子プロフィール】
はまだ・まりこ
1964年島根県松江市生まれ、松江市在住。
学生時代よりバー、クラブ、ホテルのラウンジでピアノ弾語りの仕事をする。
1998年1stアルバム『mariko』をリリース。僅か500枚のプレスが東京の一部のマスコミに取り上げられ完売。
’01年に再プレス後、東京の大型CDショップの試聴器でロング・ヒット、話題に。
以来、アルバム制作とライブ活動のほか、映画、舞台、CM、TVドラマなどに楽曲を提供。
2013年7月には5作目となるアルバム『But Beautiful』をリリースした。

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978460112639

著者: 浜田真理子
出版社: 本の雑誌社
価格: ¥1,600(税別)
ISBN: 9784860112639
発売日: 2014年11月

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『胸の小箱』 浜田真理子 本の雑誌社 ¥1,600(税別) ISBN:9784860112639

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