第9回「読書交歓会」レポート

11月21日(土)に第9回読書交歓会を開催しました。
テーマは、11月ということで「長い夜におススメの本」です。
今回は男性5人、女性5人の合計10人で行いました。新規参加の方もいらっしゃいました。
内容は哲学、ファンタジー、絵本、ミステリー、エンターティメントなど様々なジャンルの本が紹介されました!

それでは、今回の交歓本はこちら~

●話題になっていますよね!(哲学大好き男性)
◆『哲学用語図鑑』田中正人著 プレジデント社 ¥1,800(税別)
イラストが可愛い、哲学用語の解説本。流し読みするには最適の本。哲学の難しい用語の解説で要点がおさえてありわかりやすい。~主義など解説、構造主義、レヴィナスなど・・・。
哲学女子が増えている!NHKで紹介されていた。女子から火が付いた。
哲学本を読んでいるときに、わからない言葉を調べながら読み進められます。

●児童文学の名作ファンタジー(ファンタジー好き女性)
◆「はてしない物語」ミヒャエル・エンデ著 岩波書店 単行本¥2,860 文庫上¥720、下¥800(税別)
名作中の名作で、長い夜にはぴったり。表紙が重要。主人公はいじめられっこの男の子。
一人でこもって本を読み始めるところから始まる。その少年が読んでいる本が「はてしない物語」つまりこの本。男の読んでいる物語は緑文字、男の子の描写は赤文字で書いてあるところが特徴的。映画にもなったけれど、これは文章だから使えるトリックで素晴らしい。主人公の心に寄り添って読んでいくと、自分自身も物語の中に入り込んでいくような感じ。主人公の想いが物語と同化してゆく。子どもの頃に読んだときはあまり理解できなかったけれど、大人になって再読したら、人間の本質も描いてあり、ドキッとした結構恐い本。でも世界的にもベストセラー、大人が読んでも面白い。人生で一度は読んだ方が良い本。イラストも綺麗。文庫も出ていますが、絶対に単行本で読むのがおススメ。キャラクターのその後も出ている。
◆『好きなのにはワケがある 宮崎アニメと思春期のこころ 岩宮恵子 筑摩書房 (ちくまプリマ―新書)¥780(税別)
思春期臨床の本。トトロでなぜ人は癒されるのか?千と千尋の神隠しの伯に励まされるのは千だけではない。大人の人が思春期の子供を理解できないな思ったときにヒントになるかも。

●素敵な絵本を紹介します。(本好きのお母さん)
◆『つみきのいえ』平田研也/加藤久仁生 白泉社 ¥1,400(税別)
短編映画化された。とてもイラストがきれい。文章も長くなく、読み終わった後に大人の絵本だなと感じた。海面が高くなってきて、住んでいる主人公の老人が海面に合わせて家を高く高く積み上げてゆく。とても印象的な絵本。子どもにはピンとこなかったらしい。
◆『サンタクロースと小人たち』マウリ=クンナス 偕成社 ¥1,800(税別)
子どもたちが大好きな絵本。クリスマス時期になると必ず読み聞かせる。冬以外にサンタはどうしているのか?サンタさんの生活がとてもリアル。詳細な設定で描かれていて、そのシーンが子どもたちに大うけ!これを読むと幸せな気分になる。幸せのアーモンドのくだりがとても可愛い。何回読んでも飽きない絵本。
◆『黒ねこサンゴロウ旅のつづき2 青いジョーカー』竹下文子/鈴木まもる 偕成社
黒ねこサンゴロウが旅する物語。中学生向けの作品だが、絵に味があり惹かれて読んだ。
大人も子供も楽しめる作品。

●スヌーピーにはまっています(男性)
◆『SNOOPY COMIC SELECTION 80’s』チャールズ・M・シュルツ/谷川俊太郎(訳)KADOKAWA ¥520(税別)
映画最新作公開に際し読んだ。主人公のチャーリー・ブラウンを始め、登場人物の子どもたちが皆斜に構えている。とてもシュールなセリフが何だか面白いし、ときにドキッとする表現に驚かされ、考えさせられる。ニヤッとするしもやもやする。その面白さにはまってしまった。今、セレクションが発売中。

●ミステリー好きだけど・・・・(ミステリー好き男性)
◆『虫とけものと家族たち』ジェラエルド・ダレル/池澤夏樹(訳)中央公論新社 ¥1,000(税別)
虫と獣たちを観察するついでに家族も観察しちゃった日記。いつも変な理由で引っ越しを繰り返すとても変わった家族の生活がとても面白い。森見登美彦さん曰く、「この本を読むと頭の天窓が開く」そうだ。
◆『キングを探せ』法月綸太郎 講談社 ¥660(税別)
4人の殺人者が交換殺人をすることに。そのターゲットを誰がどの順番で殺すのか?トランプで決めるが・・。一人の犯人が殺人を犯した家のお金を盗んでしまい、それを使おうとしたら偽札だと判明。驚いた犯人は道路に転げ車に轢かれて死んでしまう。そしてそこから事件は意外な方向へ・・・。
著者の法月さんは、松江市出身!郷土の誇りです。デビュー作は「密閉教室」。「生首に聞いてみろ」と「ノックス・マシン」でこのミス1位を2回獲っている。凄いミステリ作家さんです。

●(初参加の男性がおススメの本!)
◆『ねたあとに』長嶋有 朝日新聞出版 ¥820(税別)
著者が、実際に夏に軽井沢の別荘で過ごした日々をモデルにして、エッセイ風にまとめたもの。作家の長沢氏が友人たちと別荘に集まり、夜な夜なゲームをして長い夜を過ごす。一章一章、オリジナルな遊びの名前が表記してあり、いい大人がどんな遊びをしているのか?気になる!長い夜はこの本を参考にして遊ぶのはいかが?
◆『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』柴崎友香 河出書房新社 ¥470(税別)
著者は「春の庭」で芥川賞を受賞。収録作の「エブリバディ・ラブズ・サンシャイン」が好き。なぜ好きか?山陰って天気が悪いらしい?「みんな太陽が大好き」っていう思いを代弁しているのかな?そんな気持ちで紹介!大学生が失恋してひたすら寝てしまうという物語。でも寝ないで頑張ろう。主人公の女の子が日々考えていることなどを淡々と描いている。解説は綿矢りさ。その解説文がグッとくる。

●若者って・・・・(色々チャレンジ中の男性)
◆『絶望の国の幸福な若者たち』古市憲寿 講談社 ¥780(税別)
「最近の若い人は~」と嘆く中高年さん。おじさんたちが指摘するところを若い人が全部直しちゃったら、それは中高年のおじさんたちに都合の良い協力者出来上がる、ただそれだけ。中高年のぼんやりした若者像ではなく、「最近の若者はこうなんだ」とデータに基づいて説明している。そろそろ忘年会シーズン。若者は職場の中高年から色々とありがたいアドバイスを受ける頃。これを読んで謙虚にアドバイスを受けようと思う!
注釈が面白いですよ~。「だから日本はずれている」なども面白い。

●怪奇幻想小説?(静かな小説が好き女性)
◆『絵小説』皆川博子 宇野亜喜良(絵) 集英社 ¥1,900(税別)
◆『ジャムの真昼』皆川博子 集英社 ¥1,900(税別)
『絵小説』は宇野さんのイラストに合わせて描いた、短編集。「赤いろうそく」は「赤いろうそくと人魚」からヒントを得た作品。イラストと小説合わさり、独特の世界観を作り上げている。少し怖い作品になっている。『ジャムの真昼』は、写真がモチーフ。写真にインスパイアされて小説が出来上がっている。野波浩氏の独特の写真が幻想的。不思議な雰囲気、不気味さも醸し出している。エミール・シオランの詩の引用が素晴らしい。暗い本だけれど、とても静かな本。皆川さんは80歳台で現役の作家さん。

●ミステリーだけじゃないよ!(ミステリー好き女性)
◆『海賊とよばれた男 上下』百田尚樹 講談社 上下各¥750(税別)
出光興産の創業者・出光佐三をモデルにした物語。石油確保のため、命懸けで日本の危機を救った、熱き男たちの物語。自らの損得ではなく、どうすれば国のためになるのかを常に考えた、信念を曲げなかった。その熱い姿勢に号泣。ほぼ泣きながら読んだ。こんな凄い日本人がいるのに、何故歴史の闇に埋もれるのか?それはやはり、日本の政治家や官僚たちの心が狭いからなのか?国の意向を無視し、大きな働きをして名を残した人を許せないからかな~と感じた。
◆『空飛ぶタイヤ 上下』池井戸潤 講談社 上下各¥690(税別)
トレーラーのタイヤが外れ、人が亡くなるという実際に大手自動車会社が起こした事故をヒントにした小説。中小企業の運送会社が起こした人身事故。整備不良を疑われ、倒産寸前に追い込まれた中小企業社長・赤松は、企業の倫理をふりかざし、自分の非を決して認めない大企業相手に孤軍奮闘する物語。この小説は、従業員を思う気持ち、お客様を思う気持ち、正しい事を見る眼、悪がはびこっても正義は必ず勝つということを教えてくれる。泣ける!経済小説。
◆『警察署長 上下』スチュアート・ウッズ 早川書房 上下各¥820(税別)
人種差別が蔓延るアメリカ南部の小さな町を舞台に、3代続いた警察署長の事件簿。そして40年もの間起こる猟奇殺人事件にもスポットを充てた、警察大河ドラマ。佐々木譲さんの「警官の血」を彷彿とさせる物語。一般文学作品としても最高。
◆『十二国記 月の影 影の海 上下』小野不由美 新潮社 上下各¥520(税別)
紹介者曰く、「ハリーポッター」シリーズよりも面白い。ライトノベルで発売されていたけれど、あまりの面白さに一般文庫でも発売に。アニメ化され大ヒット。現代の日本社会で悩める女子高校生だった少女が、ある日いきなり異世界へと連れ去られる。その過酷な異世界でいかに生き抜くか?少女が大人に成長してゆく物語だが、異世界における詳細な状況設定が素晴らしく、何度読み返しても面白い。生きるとは何かという哲学的な問題も提起。背筋がピン!と伸びる。今の中高生に読んでもらいたい。

今回も色々な本の紹介がありました。「ねたあとに」はみんなで集まって夜通し遊びたくなる本でした。スヌーピーの意外な面白さに驚き、絵本の楽しさに話が盛り上がりました。今回も、本を中心に話があちこち広がり、とても楽しい交歓会でした。
次回の読書交歓会は2016年3月に予定しています!

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