第1回「読書交歓会」レポート

2014年8月30日(土)に第1回「読書交歓会」を行いました。
テーマは「青春」。どんな本が紹介されるのか?・・・ワクワクのスタート。
男性3人、女性4人計7人で思い思いの本について語りあいました。

~それでは今宵の交歓本はこちら~

|★シャーロット・ブロンテ「ジェイン・エア」上・下 新潮文庫

両親を亡くしたジェイン・エア。叔母のもと、その後に入れられた孤児院でもハリー・ポッター的ないじめを受ける。だがジェインは懸命に生きる。成長したジェインは大富豪・ロチェスター家で家庭教師に。ジェインはそこで、主のロチェスターと恋におちる・・・。だがその恋の行方にはありえない真実が隠されていた!
何度も映像化され、名作と言われる1943年の映画は、ジョーン・フォンテイン、オーソン・ウエルズ主演。少女時代のジェインの親友には、なんとエリザベス・テイラー。その後、1996年と2011年も映画化、1983年、2006年にはテレビドラマ化。
「ジェイン・エア」とは、友達がなかなか出来ず寂しかった高校時代に出会った。
次々と訪れる耐えがたい不幸に毅然とした態度で乗り越えてゆく。どんなに辛いことがあろうと決してあきらめない。前だけを見つめて生きるジェインに勇気をもらった。
高校時代、リアルな友達がいなくても私にはジェインがいた。今でも心の友。大人になってから読んだら、切ない恋愛ストーリーに心を揺さぶられた!
この物語はある意味、「ハリー・ポッター」よりもドラマティック!そして超ロマンティック。まさに王道のロマンス作品。

|★梨木果歩「裏庭」新潮文庫

主人公の照美は、弟の死によってバランスが崩れた家族の中で、さびしい思いをしていた。ひょんなことから、友達のおじいちゃんと仲良くなり、隣の旧い洋館に秘密の裏庭があることを知る。ある日、入ってはいけないと言われていた裏庭のドアに呼ばれたような気がした照美。ドアに手をかけるとそこには大きな姿見が。鏡に「Who are You」と尋ねられる照美。「テ・ル・ミ」と答えたつもりが「Tell me」(教えて)と響く。そして鏡は答える「ITELL YOU」・・・これが物語の扉があく合図だった!そして新たな世界が照美の目の前に広がっていく。なんと、ここまでが冒険へのプロロークの47ページ。
冒険に次ぐ冒険!これでもかと繰り広げられる恐怖、興奮、勇気。ありとあらゆるめくるめく世界!
学生時代、図書館で出会ったエンデの世界のようなファンタジー。孤独だった少女はラストどうなるのか? 鳥肌がたつほど興奮します!

|★朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」集英社文庫

同じ高校の同じ学年の部活も性別も立場もまったく違う5人の高校生の物語。
オムニバス形式の、恋愛や部活といった青春小説の定番ストーリー・・・ではない!
なんと!スクールカーストをテーマに描いた作品なのです。
タイトルの「桐島」は主人公かとおもいきや、桐島がまったく出てこない。
スクールカーストとは、現代の日本の学校空間において生徒間で自然発生する人気や地位の度合いを表す序列。学校において「誰より上か、下か」わかること。花形のサッカー・バスケ部の男子やギャルっぽくて華やか女子はランクが上。少し地味めの文化部・帰宅部に属する生徒はランク下。「グループ」という言葉に空気を張り詰める女子たち。リアル(現実世界)の充実したものが勝ち組・・・。
学生時代、リアルに体験したあのときの格付けって何の意味があったんだろう・・「あるある」とうなずきの連続。ハッとさせられました。映画化され、こちらも良かったです。さらに同じ著者で、「スペードの3」という作品もあります。社会人女性の心の闇、嫌な部分を描いた小説ですが、この著者、男性なのになんで女子のこういう部分が描けるんだろう?さらに著者は心の、あまり触れられたくない部分を描くのがとっても上手い!
人が触れられたくない嫌な部分を暴き、描くことが快感なんじゃないかと思う。
参考に、光文社 鈴木翔著「教室内(スクール)カースト」をご紹介。「スクールカースト」について、初めて学術的に考察された本で、教師から見たカーストもインタビューし、紹介しています。そこにもオドロキの実態が・・・。

|★柴田錬三郎「眠狂四郎」シリーズ
・香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常」講談社(児童書版・文庫版)

私は高校時代、「眠狂四郎」シリーズに、もっぱらハマっていましたね。
最近出会った本で若い人にぜひオススメなのは、香月日輪「妖怪アパートの幽雅な日常」某アパートに入居した少しひねた高校生。但しそのアパートは妖怪たちが暮らすいわくつきの物件だった。両親を亡くし、親戚から独り立ちしたい高校生が、妖怪たちと過ごすことにより、成長してゆく物語。価値観が揺さぶられます。この本を読んで心が軽くなる人がきっといるはず。
また、作中に出てくるお料理が実においしそう!番外編で「妖怪アパートの幽雅な食卓るりこさんのお料理日記」が出版されていて、これはレシピ集なんです。こちらもおススメ。

|★ヴィトゲンシュタイン「青色本」ちくま文庫

ヴィトゲンシュタイン。この人、20世紀最大の哲学者と言われています。教師時代も問題になるくらい生徒に厳しく、半ばクビになる形で辞めているんですね。かなりの変人で、どちらかというと社会不適合者だったんじゃないかと・・・。
哲学者が2000年間ずっと問いかけている「人生の意味とは?」「時間とは?」など
こんなもの、人によって定義のとらえ方が違うわ~!そもそもそんなもの答えなんか
出ないでしょ!問題の立て方自体、正しいの?と疑問を呈した人なんですね。
「青色本」は、それらの内容の講義録で、青いノートにまとめられたものだから「青色本」。
学生時代読んで難しかった!!!
ということで、この本をマクラに哲学初心者さんにおススメはこちら。土屋賢二「土屋賢二のあたらしい哲学入門」文春文庫。土屋節はわかりやすい上、内容も充実。

|★アーノルド・ローベル「ふたりはともだち」文化出版局

小学校のときの教科書に掲載されていたなぁと思い出して読んだ。そうしたら、ことのほか良かった!二匹のかえるがお手紙を待っている様子がとても可愛い!ほのぼので癒されます。でも実物のかえるはちょっと・・・。

|★アンネ・フランク「アンネの日記 完全版」文春文庫
中学生の時に読んで、正直、つまらなくて途中で読むのをやめた記憶が。戦時中でも日々の生活が淡々と描いてある。アンネの恋愛話や、隠れ家でのリアルな生活。それがちょっと怖いかなと感じた。どんなことがあっても人間の生活は続いてゆく。読めなかった・・・・。もう読まなくてもいいかなと思った。多感な時期に読んでみては?とすすめられる本だが、唐突に終わる日記の最後にやっぱり衝撃を受ける。

|★ジャック・アタリ「21世紀事典」産業図書
・瀬名秀明/円成塔/飛浩隆「サイエンス・イマジネーション」NTT出版
・分類王・石黒謙吾「チャート式 図解でユカイ」ゴマブックス
・池内了「疑似科学入門」岩波新書(赤版)
・パオロ・マッツァリーノ「つっこみ力」ちくま新書(経歴で笑える!)

私の青春といえば、ひねった、理屈っぽい知的・痴的な「お笑い」がテーマでしたね。1980年代は、言葉の定義付け・パロディなど、言葉遊びをすることが結構流行っていて、だからそんな本ばかり読んでいた記憶があります。くだらないけど頭を使うのが面白い。わかる人にだけわかればいい。その頃から今も成長していないかも。
で、今はまっているのが!
・田中光「サラリーマン山崎シゲル」ポニーキャニオン
立ち読みは危険。爆笑危険。元気がない時にぜひおすすめ。何も残りませんが。


●初めての「読書交歓会」は自分の「青春時代」の本の紹介ということで、みなさんかなり熱く、ノスタルジックに語られ、2時間があっと言う間に過ぎてしまいました。
紹介した人みんなの、「青春」ってなんとなく孤独?・・・っていうものを抱いていて、そういう本を、みなさん不思議と紹介していました・・。やっぱり「青春」=「ちょっぴり孤独」ということ結論で会を締めたのでありました。

そして
次回の「読書交歓会」のテーマは「おいしい本」!
秋だから!読んでおいしい・知っておいしい・そのネタおいしい、本の紹介・交歓をお待ちしております。参加準備は「おいしい本」を知っていること。それだけです。
みなさまのご参加をお待ちしております。テーブル席に余裕があれば、聞き役のみのご参加も可。お気軽にご連絡をお待ちしております。

 

 

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