第43回内田樹読書会レポート

11月24日(木)に第43回内田樹読書会を行いました。
課題図書は中室牧子さんの「学力の経済学」。今回は男性4人、女性2人、合計6人で語り合いました。
前回の「言ってはいけない」に引き続き、‘検証したデータ’から、今まで漠然と感じていた「学力」についての推論はどうだったのかを明らかにしている。
今回の参加者のうち子どもさんをお持ちの方はお二人!どんな話に広がったのか・・・!?

それではトピックス!

【全体的な感想】
・著者の持論展開
・今まで漠然としていたことが少しわかったような気がした。
・こどもをご褒美でつっても良いってことですよね?
・自制心とやり抜く力は本当に大事だと思った。

【どんな子育てだった?】
・夏休みの宿題を休みの前半に終わらせるような子供に育てるには?
・子供の個室無し、リヴィングで勉強(テレビはつけるな、親もテレビは見るな。)
・子供がそわそわするようなことはしない。
・子供を一人で勉強させない。親はそばにいて一緒に勉強する環境を作る。
(以上は科学的根拠に基づいている。)
・子供から何故勉強しなくちゃいけないの?と問われたら・・・・
 勉強をする目的を勉強以外に置いてはいけない(例:勉強したらいい大学に入れるとか・・・)
 今よりレベルの高い勉強をするために勉強すると言って子供に言い続ける。

【貧困と学力・・・・他】
・夏休みの宿題は最後の日に泣きながらまとめてやっていました。
・こんなダメダメな子ども背景は・・?
・親が共働きで一緒に勉強したことがない。勉強の仕方がわからなかった。
・今でいう「貧困」の中で育ったのかな・・・?
・自分に当てはめて考えてみると、親の収入が子供の成績に影響するっていうのはあながち間違っていないと思う。
・塾に通うと都会は月間12万くらい!(えええええ~!!高い!!)
・塾も都会と田舎で違いがあるのでは?
・比較的「裕福」な家庭で育った子どもは、子どもの頃に学ぶ基礎が固まっている。
・小学校中学年くらいまでは、父親と息子、母親と娘という組みあわせで勉強すると良い。
・塾で良くできる子は親が一緒に勉強している。考えるくせがつき、物事を理解しようとする。
・お金だけ出して塾に‘お任せ’のような親の子どもは、勉強があまり出来ない傾向になる。
・それは子供にとって「苦役」にしか感じられなくなるから。
・親はうるさく言うからダメなときもある?親以外だと素直になる?
・おじさん、おばさんだとその傾向は強い?(内田樹も大事だと言っている)
・面白い子供の塾もある。ESPとか、テレパシーなどを体験させられた。歌で覚えたことは今でも言えます。特に地元の地理関係。(凄い!)
・小学校の子ども塾では、小学校3年生までは成績が良いけど、高学年になるととたんに下降きみになる子供もいる。
・「頭」の良さはやはり遺伝すると思いますよ。実際、友達にいた。難しい「微分・積分」などをちょっと考えていたと思ったらさらさらとノートに書いていた。東大に行くような人は頭の出来は普通の人とまったく違うと思います。「努力すれば出来る」っていうのは嘘だと思う。遺伝はほんとにあると思う。
・でもね、そういう人って意外と常識的なことが出来ないこともあるんだよ。
・天才って普通の人が出来ることが出来ないってことがありますよね。
・その件は前回の「言ってはいけない」にも出てきましたね。

【勉強はそんなに大切なのか?】
・非認知能力が大切?やり抜く力?自制心?コミュニケーション能力?日本の教育は?
・今までの時間は、この本の意図から逸脱して、全く非科学的な根拠でずっと個人的な経験に基づいて話していましたよね?日本の教育ってまさにそういうことなんです。でも教育というものはそういうものを排除できないと領域なんだと思う。科学的に見ることも大事だと思う。
・社会に出たらコミュニケーション能力が必要。勉強が出来る、出来ないについてはあんまり関係ない。
・色々な仕事を振られて効率よく出来るかどうかが大切になってくる。こっちが絶対に必要。
・物凄く頭のいい人はアメリカに集まっているのか?・・・・
・楽観的な人は営業向き、悲観的な人は外科医に向いているらしいです。
・楽観的な人が外科医だったら困る!(あ、切っちゃった・・・まあいいか?なんてことになる!)
・むやみやたらに褒められた子どもは実力の伴わないナルシストに育つことが多いっていうことになってしまう!

【ご褒美作戦について】
・子供にご褒美作戦、やっておけば良かった。
・あるゼミの通信教育のポイントがたまる制度は子供には良いかも。(デジカメとかもらった。)
・宿題が終わったらゲームOKとか、サイコロで出た目の数を足していくつなのかすぐに答えたら
チョコレートをもらったとかあります。
・自制心、やり抜く力はどう育ったのか?社会に出た時のためには絶対に必要。色々なことをこなすためにはどう教育すれば良いのか?
・この実験では、「テストで良い点数をとったら」ご褒美をあげるではなく、本を読んだら、宿題をしたらご褒美をあげるということをしている。
・何かを目的としたご褒美ではなく、過程に対してご褒美をあげると良くなり、結果にもつながり、自制心が育ち、やり抜く力も養われる。「過程」に対するご褒美が大切。
・地元で未就学児対象の丸太切り競争をやった。途中でやめる子もいれば、泣きながら最後まで挑戦する子がいたけど、最後までやった子はこの子将来楽しみだって思ったりした。
・ご褒美は誰があげるかは重要?
・親が負担するのか?教師か?家または学校?それぞれで結果は違うかも知れない。
・教育は聖域であるから、教育に関する実験は正しいのか?疑問。いまだに論争。
・4つの聖なる職業「教育」「宗教」「医療」「司法」。これらはなんらかのコミュニティが出来た時に必ず必要になる職業。人間の本性に根差したものだから実験などしてはいけないという意見が根強くある。
・内田樹さんも似たようなことを書いておられる。

【教育の実験について】
・著者の考え、なぜ教育も経済学で語らなければならないか?
・普通の人は教育を目の前のものとして考える。でも経済学は広い視野で見る。医療経済学とか。
 どこでラインを引くのか?教育もそういうところに来ている。
・教育の全体を引き上げるためには何が必要かは分析でしかない。かなり具体的なデータを示さないと
変なお金の使い方をしても誰も得をしない。こういった分野の人たちがデータを集めている。
・欧米は国の諮問機関が行っている。日本はまだまだ進んでいない。
・教育とは相反するけれど効率性も入れていかないとダメな時代に突入している。
・こういう実験やデータ検証の仕組みがあれば良いと思うけれど、教育現場の人たちは絶対に納得しない。インセンティブで人を動かすなんて教育の本質じゃないと言っている。
・すべて科学技術の時代なのに、なぜ個人の思想を持って教育論を語っているのか?
・教育の経済学で考えるほうがフェアだと思うけど、やはり納得はいかない。
・教育だけじゃなく仕事の面でもある。営業実績をあげるためにインセンティブをつけた方が良いと思っている人がいる。仕事面でもどうあるべきか考える場面がある。
・仕事は、お金よりも認められるべき人に認められることが一番パフォーマンスがあがると思う。
・インセンティブをつけるやり方は良い場合もあり、ダメな場合もあると思います。(競わせるとかはなかなか一体にならない。)
・学校の先生にインセンティブをつける実験をアメリカで行ったが効果が出ずやめになった。
・経済学だけで考えると、高い報酬を与えれば与えるほど良く働く・・・には疑問。
・人間はそうではない⇒行動経済学の分野になるかも。
・インセンティブの与え方、上手く仕向けるということも大切なのでは?
・ブロックを組み立てて壊すという行為を繰り返す実験、「人間は全く意味のないものにどのくらい一生懸命になれるのか」を検証したところどんどん効率が落ちて行った。
・意味の見いだせないことを人は続けることが出来ない。なぜこれをしないといけないのかきちんと説明しないと人は動かない。

【まとめ】
・今の日本政府の教育に関するお金の使い方がリスキーだと思う。この本を参考にしてほしい。
・この本を読むと「ホワン」としていたことが、すっきりとわかることもあった。
・経済は生き物のように動いている。その動きが危険な兆候を示した場合、経済を安定させる要素「ビルトインスタビライザー」が働くのかどうか?研究してみた。しかし結局、投資家や政府が介入する、さらに世界の様々なトピックで株価が乱高下する・・・。そういうしくみは働いていないのかも・・・。

とても興味深い様々な意見が出ました!大変盛り上りました。次回は内田先生の本でやります。

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