
極道と梨園。
生い立ちも才能も違う若き二人の役者が、
芸の道に青春を捧げていく。
1964年1月1日 長崎は料亭「花丸」侠客たちの怒号と悲鳴が飛び交うなかで、この国の宝となる役者は生まれた。
男の名は、立花喜久雄
極道の一門に生まれながらも、この世ならざる美貌は人々を巻き込み、喜久雄の人生を思わぬ域にまで連れ出していく。
舞台は長崎から大阪、そして、オリンピック後の東京へ。
日本の成長と歩を合わせるように、技をみがき、道を究めようともがく男たち。
血族との深い絆と軋み、スキャンダルと栄光、幾重もの信頼と裏切り。
舞台、映画、テレビと芸能界の転換期を駆け抜け、数多の歓喜と絶望を享受しながら、その頂点に登りつめた先に、何が見えるのか?
吉田修一、作家生活20周年記念作品として放つ渾身の大作。
歌舞伎を題材とした、吉田修一さんには珍しい語りの文体。
読み終えた今、とんでもないものを読んだ、読んでしまった!というのが感想です。
「一途な少年」は、本当に一途そのものだったのだと。
「役者」を超え、「人間」を超え、「狂気」の中で歌舞伎そのものになった若者は、美しい景色と思い出の中で舞い続ける――
一人の歌舞伎役者の生涯に、美しさの真髄を見ました。(今井書店スタッフ)
■国宝(上・下)
著者: 吉田修一
出版社: 朝日新聞出版
価格: 各¥1,500(税別)
ISBN: 上 9784022515650 下 9784022515667
発売日: 2018年9月
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