サスペンス小説まとめています!

今井書店の各店の文庫コーナーで、「ミステリー好き太鼓判!サスペンス小説ベストセレクション」を展開中です。目印の看板POPはこれ!↓

この下の写真は、今井書店グループセンター店のコーナーです。一番たくさん揃っています。

そして、このベストセレクションの中で今一番人気の高い作品は、このブログの最初の方で紹介した、幻冬舎文庫『火の粉』雫井脩介著です。

自己中心的すぎて、或る意味壊れちゃった人間の恐しさを描いた、サイコサスペンス衝撃の傑作です!!

『火の粉』
著者: 雫井脩介
出版社: 幻冬舎
価格: ¥762(税別)

頑張る~気持ちになる!「ルーズヴェルト・ゲーム」

またまた、池井戸さん。最新刊がいいんです!実はミステリー作品ではないけれど。直木賞受賞作『下町ロケット』の次に描いたのは、社会人野球チーム。タイトルは『ルーズヴェルト・ゲーム』。

経営難に陥った中小企業の青島製作所は、リストラを敢行。万年弱小の野球チームもリストラ対象になってしまう。会社、野球部に次々に降りかかる苦難。そんな中でも決してあきらめない、社員や野球部員がいた!彼らの熱意と誇りが会社を救う!?

池井戸さんの作品はほぼハッピーエンドになることがわかっている。わかっているけど読んでしまう。苦難に立ち向かう人たちの熱い思いに共感するから。彼らと一緒に苦難を乗り越えた喜びに浸りたいから・・・読み終わった後の爽快感はなんとも言えません!

野球好きの人なら知っていると思いますが、「ルーズヴェルト・ゲーム」の由来は、大の野球ファンだった、ルーズヴェルト大統領が「この試合は面白い」と言った「8対7」の試合のこと。そのゲームにたとえたこの「ルーズヴェルト・ゲーム」。逆転なるか!?

「下町ロケット」と並ぶ、企業小説の傑作です。

『ルーズヴェルト・ゲーム』
著者: 池井戸潤
出版社: 講談社
価格:¥1,600(税別)
¥800(税別)文庫

直木賞作家・池井戸潤氏の原点

昨日に引き続き、江戸川乱歩賞受賞作を紹介します。なんと言ってもミステリー小説の登竜門なので、ミステリ小説を語るなら乱歩賞受賞作は避けて通れない。しかも傑作が多いです。

昨年7月に『下町ロケット』で直木賞を受賞した、池井戸潤氏も乱歩賞受賞作家さんです。第44回江戸川乱歩賞受賞作『果つる底なき』でデビュー。『果つる底なき』は直木賞作家・池井戸潤氏の原点。

近年、池井戸さんは骨太な企業小説が多いですが、実はミステリー作品も非常に面白い!『果つる底泣き』はデビュー作とは思えない完成度。

元銀行マンという池井戸さんの経歴を活かし、銀行を舞台にしたミステリー作品です。

「なあ、伊木これは貸しだからな」という謎の言葉を残して坂本は死んだ。死因はハチによるアナフィラキシーショック。翌日、坂本の不正が発覚する。顧客の口座から自分の口座へ送金していたのだ。しかし伊木は坂本の無実を信じ、坂本が生前何をしようとしていたのか調べ始める。

作品発表当時は、大手銀行の破綻、不良債権の焦げ付きなど金融不祥事がクローズアップされていた時期。この作品で、銀行の内幕を知った人も多かったのではないかなと思います。
かくいうはまさきも、銀行内でどのようなことが起こっているのか、全くわからなかった。この作品を読むことで、銀行の内幕や、不正などあまり表に出ない、銀行の闇の部分を知った。その闇の部分をミステリーとして描くことで、この作品の面白さが増しているような気がする。じっくりと味わって読める、硬派な大人のミステリー作品。(渋い!!)

近年、池井戸さんが描く企業小説は、‘正しいことを貫く精神’のようなものが常に描かれているようです。その思いはこの『果つる底なき』から描かれている。池井戸さんの原点とも言える作品だと思います。

『果つる底なき』
著者:  池井戸潤
出版社: 講談社
価格:  ¥648(税別)

東野圭吾氏絶賛!鉄壁のトリックの乱歩賞作品

江戸川乱歩賞というと、ミステリ作家の登竜門。この賞を受賞した作家さんは、ミステリ作家として活躍している方が多い。
そして受賞作もかなりの傑作が多いです。

中でも第55回江戸川乱歩賞受賞作の『プリズン・トリック』遠藤武文著は、かなり高度なトリックを使った‘乱歩賞史上最大級の問題作’。今年1月にやっと文庫化された、乱歩賞作品文庫最新刊。

ストーリーは、市原の交通刑務所内で受刑者石塚が‘前へ倣え’の奇妙な姿勢で死んでいた。そして同所内の宮崎が逃亡。完全な密室で起きた殺人事件は、安曇野を舞台にした政治汚職にまで波及していく。

刑務所内での密室殺人という展開は驚き!さらに所内での日常の描写もなかなか興味深く読めた。読み終わってもしばらく???が続いた。練りに練ったトリックが際立ったミステリ作品。

単行本で早々と読んでしまったはまさき。しかし文庫には単行本では未収録の‘ある人物からの手紙’が収められている。なので単行本は持ってるけど文庫も買わねば!!
文庫では単行本時には気がつかなかった意外な発見があるかも!!


『プリズン・トリック』
著者:  遠藤武文
出版社: 講談社
価格: ¥667(税別)

シェルターに閉じ込められた!?密室での謎解明!

今日も「ミステリー好き太鼓判 サスペンス小説ベストセレクション」からおススメを1冊。

おススメは、講談社文庫『そして扉が閉ざされた』岡嶋二人 です。

実は20年以上前、まだ文庫化されないときに単行本で読みました。
その時期はミステリー小説というものにはあまり興味がなかったのですが、そのタイトルに惹かれ手に取りました。ものすごく面白く、こんな世界もあるんだ・・・と強く印象に残った作品。

その後、ミステリー小説をたくさん読みました。時々同僚から、ミステリー小説でおススメは?と聞かれることがあります。そんなときは一番最初にこの作品のイメージが浮かびます。

ストーリーは、ある財閥の令嬢が、友人たち4人を誘い別荘で過ごすことになります。
その令嬢はお嬢様特有のわがままな性格。自分が一番でないと気がすまない。だから友人たちも仲良くしてはいますが、心の中ではあまり良く思っていない。お金持ちだから彼女を誘うといいことあるかも・・・くらいの気持ち。

ところが、その令嬢は別荘で過ごしているとき事故死する。事故の直前まで一緒だった4人の友人たちは、娘の死を不審に思った遺族の手でシェルターに閉じ込められてしまいます。
そして、娘を殺したのはおまえたちだと、トイレにメッセージが・・・・。

4人の友人たちは死に物狂いで脱出を試みますが・・・・。閉じ込められたシェルターの中で4人は自分の無実を訴え、さらに疑心暗鬼に。いったい何が起こったのか?令嬢はなぜ死んだのか?極限状態の中で彼らは必死に記憶をたどり、徐々に真実に近づいて行く。

極限状況の密室で謎を解明する、異色すぎる推理サスペンス。20年以上たった今でも鮮明に覚えている、めちゃめちゃ面白い作品です。


『そして扉が閉ざされた』
著者:  岡嶋二人
出版社: 講談社
価格: ¥571(税別)

結婚って恐い~。サスペンス短編集

各店で展開中のミステリー好き太鼓判「サスペンス小説ベストセレクション」の中から今日のおススメを1冊。

角川文庫『崩れる 結婚にまつわる八つの風景』貫井徳郎著です。

貫井さんと言えば東京創元文庫『慟哭』で大ブレイク。その後は「後悔と真実の色」で山本周五郎賞、「乱反射」で日本推理作家協会賞を受賞。過去に2度直木賞候補になるなど、ミステリ小説界の重鎮です。

その貫井さんの初期の短編集です。
第1話「崩れる」から衝撃的な展開。あこがれの画家の卵と結婚し、幸せな家庭を築くはずだった女性。しかしどこかで歯車が狂い始め、絶望へと向かう・・・。
第2話「怯える」は新婚で妻は妊娠。幸せの絶頂期にあった男性は、あるきっかけで昔つきあっていた彼女と出会う。その彼女の行動に一抹の不安を覚える・・・・など。
公園デビュー、ストーカー、DVなど様々な現代社会の病巣を「結婚」というテーマで描いた、社会派ミステリー。
結婚について、貫井さん独特の視線で、ミステリアスに描いています。

最近ではボリュームのある、硬質なミステリーが多い中、ミステリー作家・貫井氏の隠れた一面を知ることが出来る貴重な1冊です。

『崩れる 結婚にまつわる八つの風景』
著者:  貫井徳郎
出版社: 角川書店
格:  ¥590(税別)

面白い!!リーガルサスペンス最新作!

2月はずっと本屋大賞のノミネート作品を読んでいて、なかなかミステリ小説が読めなかったけれど、それがやっと読み終わり、はまさきの大好きなジャンルを読む時間ができました。
今回読んだのは、最近ミステリジャンルでよく言われるようになった、「リーガルサスペンス」。講談社『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』中山七里著。本の帯のコメントにあるように、まさに「‘どんでん返し’が止まらない!怒涛のリーガルサスペンス。!」です。でもそれだけじゃない。この小説にはもっともっとすごい秘密が隠されている。少年犯罪、罪と罰、家族の絆・・・・。あまり書いちゃうとネタバレになるからやめます。主人公は悪徳辣腕弁護士・御子柴礼司。名前からかっこいいけど、裁判で勝つためには手段を選ばない、かなり悪い奴。しかし、その陰で国選弁護人をかってでるなど相反する行動をとることも。とても謎めいた主人公。
内容は最初から衝撃的。御子柴が新聞記者の遺体を捨てるシーンから始まる。弁護士が犯人!?しばらくして警察がその死体を発見。被害者の周りを調べるうちに御子柴弁護士にぶつかる。警察は執拗に御子柴を追うが、彼には鉄壁のアリバイがあった。そこから御子柴と警察との攻防が始まる・・・。鉄壁のアリバイが崩れるのか?!

とにかく最初の衝撃が去らずそのテンションのまま読み続け、ラストの大どんでん返しは圧巻!

『贖罪の奏鳴曲』
著者:中山七里
出版社:講談社
価格:単行本¥1,600(税別)
   文庫¥680(税別)