乱歩賞受賞作中最高傑作!高野和明氏『13階段』

はまさきが江戸川乱歩賞受賞作を読み出すきっかけになった作品。第47回江戸川乱歩賞受賞作・高野和明氏『13階段』(講談社文庫・文春文庫)。
ブログタイトルは、あくまではまさきの思い。でもほんとにそう思えるくらい面白かった作品です。(何度読んでも面白いです。ちなみにはまさきは、5回読みましたよ~)

傷害致死事件を起こし2年間服役し仮釈放になった三上純一は、刑務所で彼を2年間見守り続けた刑務官・南郷からある仕事を持ちかけられる。
その仕事とは、10年前に起こった殺人事件の再調査だった。
三上の家族は民事裁判で多額の賠償金を支払わねばならず、その再調査の報奨金は魅力的だったため、三上はその話を受けることにした。
10年前に起こった殺人事件は、ベテラン保護司夫婦が惨殺された事件。
その犯人として逮捕された樹原は、事件現場近くでバイク事故を起こし意識を失っているところを発見された。
そして状況証拠によって逮捕され、死刑判決を受けていた。
しかし樹原は「階段~」というおぼろげなこと以外、事件の前後の記憶を失っていた。
死刑執行まであとわずか。樹原の言う「階段」という記憶を頼りに南郷と三上は調査を始める。
やがて三上と事件の意外な共通点が浮かび上がる。二人は事件の真相に辿りつけるのか!?

物語の背景にある冤罪問題、死刑制度など現在の司法のあり方、さらに服役囚の更生などについてしっかり書き込まれ、謎解きの部分だけではない、重みや深みが加わって物語に重厚感を与えている。そしてミステリーの醍醐味ともいえる終盤の‘大どんでん返し’は衝撃!
終盤はハラハラドキドキです!!乱歩賞受賞作中最高傑作!読み出したら止まりません!
『ジェノサイド』(角川書店)とともに著者の傑作ミステリーです。

『13階段』
著者: 高野和明
出版社:講談社
価格:¥648(税別)

ラスト一行の衝撃!米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』

米澤穂信氏の学園青春ミステリー『氷菓』(角川文庫)がアニメ化され、4月から放送開始されました。米澤さんには以前から注目していたので、ちょっと嬉しい!
米澤さんは、さわやかな学園青春ミステリーを描いてる中で、なんとホラータッチのミステリー小説も描いているのです!しかもかなり怖い・・。米澤流暗黒ミステリを紹介します。

『儚い羊たちの祝宴』(新潮文庫)の物語は、五編の連作短編から成り立っています。
夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」の夏合宿の前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。
その後、毎年吹子の近親者が殺害され、4年目にはさらに凄惨な事件が起こる。
優雅なはずの「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。明るく聡明な女性会員たちが起こす残虐な仕打ち・・・・。
ミステリの醍醐味・・・・それは終盤に用意されている、‘大どんでん返し’。それが鮮やかであればあるほど、読者の衝撃度は増す。
しかしこの作品は終盤どころではなく、ラストの一行にこだわり続けた「ラスト一行の衝撃」なのだ。この一行で読者はノックダウン!不気味な読後感(なんだ?この世界は???)。でもでもなぜか不思議な面白さが残る!!
背筋が凍りつく!暗黒世界を堪能できる!ホラーミステリーの傑作!

『儚い羊たちの祝宴』
著者: 米澤穂信
出版社:新潮社
価格:¥520(税別)

文句なく本格ミステリーの傑作!東野圭吾氏『悪意』

ゴールデンウイークなのに、残念ながら雨・・・・。レジャーの予定のないときは、やっぱり読書が一番です。
しかもとびっきり面白いミステリーだったら!楽しいで~す。
ということで今回紹介するのは、東野圭吾氏の傑作ミステリー作品『悪意』(講談社文庫)です。
刑事・加賀恭一郎シリーズ第四弾。はまさきが初めて読んだ東野作品です。
加賀恭一郎刑事は、阿部寛主演で連続ドラマ化(新参者)・映画化(麒麟の翼)されてメジャーになりました。
湯川博士のガリレオシリーズと並び、東野圭吾氏の代表作のシリーズです。

人気作家・日高邦彦が仕事場で殺された。第一発見者は日高の妻と幼馴染の野々口。
犯行現場に赴いた、警視庁捜査一課の加賀恭一郎刑事の推理で犯人はほどなく逮捕された。
しかし殺害動機について、犯人は決して語ろうとしない。
早い内から犯人が特定されるが、この小説の意図は殺人事件の推理ではなく、なぜ犯人は日高邦彦を殺害したのか?その動機だ。
手記の形式でストーリーが展開されるのが、この手記が鍵となる。
独特の観察眼を持つ、加賀刑事の推理が冴える!最後に導き出される衝撃の動機とは!そして真相とは・・・!?

人間の心の奥に潜む闇を浮きぼりにしたミステリーの傑作です。東野作品の中で燦然と輝く!超一級の本格ミステリー。何度読んでも心に響きます。

『悪意』
著者: 東野圭吾
出版社:講談社
価格:¥629(税別)

恋愛小説?それともミステリー?『イニシエーション・ラブ』

文春文庫『イニシエーション・ラブ』(乾くるみ著)にはまっちゃった読者の皆様!
第2弾?『セカンド・ラブ』が5/10に文庫で発売となります。(中国地区は1日遅れて入荷)ファンの方々お待たせ致しました!
第2弾?発売前に既刊本の衝撃作『イニシエーション・ラブ』が、どのようなストーリーだったのか?ちょっとおさらいです。強烈なインパクトだったので、忘れている方はいないと思いますが・・・。
しかしまだ読んだことのない方々、ぜひ読んでみて驚いてほしいです。

『イニシエーション・ラブ』は、2部構成になっています。
side-Aとside-Bに分かれた、男女の甘いラブストーリーです。
恋愛小説好きの読者はきっとはまるかも知れません。
しかし、はまさき、恋愛小説はあまり得意ではありませんでした。ですが、テンポよく話が進むし、ミステリアスな女性も登場するので、それぞれとても面白く読めていました。
しかし!しかしです!ラストのたった2行で(絶対に先に読まないでください)今まで恋愛小説だと思っていた作品が、いっきにミステリー小説へと変貌したのです!!!
その衝撃と言ったら!言葉では表現できないほどの驚きでした。この著者にまんまと騙された私・・・・。(読んだ方皆だと思いますが・・・。)

そのあとはストーリーを再度確かめるために何度もページをめくり返しました。

絶対に2回読みたくなる稀有な作品。この驚愕と衝撃を味わってほしい!ほんとに面白く、驚きに満ちた恋愛ミステリー小説の傑作です。

『イニシエーション・ラブ』
著者: 乾くるみ
出版社:文藝春秋
価格:¥580(税別)