弁護士・御子柴礼司シリーズ第3弾「恩讐の鎮魂曲」は傑作!!

「贖罪の奏鳴曲」で主人公・御子柴礼司に衝撃を受け、
「追憶の夜想曲」は怒涛の大どんでん返しに唖然・・・。

このシリーズは形容しがたいほど面白すぎる!!!
そして、先日第3作「恩讐の鎮魂曲」が発売。
迷わず購入しすぐさま読んだ!

恩讐の

前作、「追憶の夜想曲」で辣腕弁護士・御子柴の過去が暴かれた!
それでなくても、御子柴の悪辣な弁護方針は蛇蝎のごとく嫌われていた。
その上、信じがたい過去がプラスされれば、御子柴はもう弁護士として
法曹界では生きてゆけないほどのダメージ。
しかし、過去は過去。そんな弁護士に仕事を依頼してくるのは
暴力団事務所の顧問弁護士の口くらいだ・・・・。

そんな中、御子柴のもとへ耳を疑うニュースがはいってきた!
御子柴が、少年時代に医療少年院で更生をはかっていた時、
唯一、子どもたちの行く末を真剣に考えてくれた恩師、稲見が
殺人容疑で逮捕されたというのだ。

御子柴は、すぐさま警察に出向き稲見への接見を求めたが、
国選弁護人がすでに決まったということで、断られてしまう。
だが、恩師の弁護を他人に任すなどもってのほか!
御子柴は裏から手を回し弁護する権利を得る。

稲見は、老人ホームで一人の介護士と揉めて
怒りの余り、その介護士をなぐり殺してしまったという。
その供述を信じられない御子柴は、老人ホームで
事件当日何が起こっていたのか、調べ始める。

今回は、殺害された介護士が、韓国船の海難事故で
女性から救命胴衣を奪い、その女性を死なせてしまった
過去を持つ男。暴行罪で裁かれたが、「緊急避難」を
適用され、無罪となっていた。

さらに、老人ホームの実態!

最近の社会的に大きなニュースを小説に盛り込み、
事件のリアルさを追求し読み手を惹きつける!
さらに主人公・御子柴の変貌ぶりがすごい。
前作ですべて暴かれ、それでも挫けずさらにクールに
悪辣になっている。
しかし恩師のピンチに、今までにはない感情のほとばしりを
見せている!
ミステリー好きにはたまらない怒涛のどんでん返しは申し分ないが、
今回の作品はその面白さにとどまらず、深く静かな感動が押し寄せる!

中山七里さんの‘超’傑作のシリーズ、ご堪能ください!

『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』
著者:中山七里
出版社:講談社
価格:¥1,600(税別)