今まで感じたことのない恐怖!「火のないところに煙は」

芦沢央さんの「罪の余白」「悪いものがきませんように」
などを読んで、追いつめられてゆく人間の心理描写が
とても上手い作家さんだと思った。

そして、2016年に新潮社から発売された「許されようとは
思いません」で完全にはまってしまった・・・。
様々な状況に置かれた人間たちの心の動きが
緻密なタッチで描かれ、読んでいると自分自身が
体験しているような錯覚に陥る。
思わず、のめり込んで読んでしまった。

凄い作家さんの登場だと思っていたところに、
今度はホラー小説。しかも最強の恐さで迫ってくる!
「火のないところに煙は」・・・。
怖すぎる!でも面白くて止まらない戦慄のホラーミステリー。

物語は、ミステリー作家の「私」が雑誌編集部から
「神楽坂」を舞台にした怖い話を描いてほしいと依頼
されたことから始まる。
「私」は、以前友人から聞いた奇妙な話を思い出した。
その事件絡みのあるモノがクローゼットに入れたままに
なっている。凄惨な記憶が甦る・・。
これは過去と向き合うことなのか?
その話はちょうど神楽坂で起こった出来事だったので小説に描いた。

小説を発表したあと、怖い話が「私」のもとへ集まってきた。
集まった怖い話は小説として雑誌に発表することに・・・。

この本に描かれた、6編の怪談。
いずれの怪談もひとつの小説として成り立っている。
しかし・・・!?

怪談そのものの恐ろしさと、その怪談はいったい
何が原因で起こったのかという「謎」に迫る過程が
物凄く恐い!二重の恐怖で肌が粟立つ!

想像を絶する展開と尋常でないどんでん返しの
連続に、ここに登場する怪談はフィクションなのか?
それともノンフィクションなのか?頭が混乱し、
完全に騙される!

そして今まで感じたことのない恐怖に襲われてしまった・・・。

『火のないところに煙は』
著者:芦沢央
出版社:新潮社
価格:¥1600(税別)