本当に鳥肌物!!「夜行」

本屋大賞にノミネートされた、「夜行」を読みました。

森見さんの作品は「ペンギン・ハイウエイ」「聖なる怠け者の冒険」
などファンタジックな作品は読んだけれど、今回の「夜行」は
ホラー?
読めば読むほど鳥肌が立つ・・・。

尾道、奥飛騨、津軽、天竜峡、鞍馬。
旅先で出会う謎の連作絵画「夜行」。
その絵は不思議な絵だ。

尾道で妻と連絡がつかなくなった夫が、ある廃屋で
妻とそっくりな女性と出会う。
その女性は妻なのか?それとも違う人物なのか?
ホテルの男性スタッフはそこには誰もいないというが・・・。

奥飛騨に旅行にいった男女4人。
その途中で年配の女性を同乗させた。
その女性は「未来が見える」と言った。
そして、車の中の二人に「死相」が見える
と言ったのだ。
その言葉を誰も信じなかったが、宿についたとき
その二人とはぐれてしまった・・・。

津軽へ向かうため、寝台列車「あけぼの」に乗っていた
夫婦とその友人。
その友人が列車で通る時に火事を見たと言った。
さらにそこで手を振る女性を見たと・・・。
そんなはずはない。燃える家を確かめるため、列車を降りた
3人。その途中で友人が見えなくなる。
妻はその家が気なって仕方ないが、夫は不気味な雰囲気に
恐怖を感じ、家から離れるように促すが・・・。

天竜峡に行く飯田線に乗車した時のこと。
女子高生と坊さんと同乗した男性。
女子高生の不思議な魅力に取り込まれそうになる。
かたや坊さんは、その女子高生を恐れているように
見える。
この女子高生は一体何者だろう・・・?
そう考えた時にふとじわっと恐怖が背中を
這いあがってきた・・・。

この4つの物語には連作絵画「夜行」が登場する。
その不気味な絵と物語の不気味な繋がり・・・。
読んでいると次第にぶわ~っと鳥肌が立ってくる。
この本の不気味さになかなか気がつかない。
最終の「鞍馬」を読んだときにホッと一息
つくが、それまでの何とも言えない怖さは筆舌に尽しがたい。

初めて読んだ森見さんの本格ホラー。
何とも不可思議な体験をしているようだった・・・。

『夜行』
著者:森見登美彦
出版社:小学館
価格:¥1,400(税別)