警察の草創期の捜査を描く!「サーベル警視庁」

今野敏先生の最新刊は、明治時代の警察を描いた作品。
「サーベル警視庁」です。

時は明治38年、日露戦争まっただ中。
警視庁内でもその話で持ちきりだ。

そんな時、不忍池で変死体があがったと連絡が入った。
警視庁第一部第一課の面々たちは、早速不忍池に向かった。

警視庁第一部第一課は、鳥居部長、(幕末の怪物・鳥居耀蔵の縁者らしい・・)
を筆頭に、仙台出身の葦名警部、服部課長以下、岡崎上位巡査、柔術の猛者・久坂、
剣術の達人・岩井、私服刑事(でか)・荒井巡査という面々。

不忍池で発見された変死体は、帝国大学の教授らしい。
第一発見者は富山の薬売りだという。
岡崎たちは、その薬売りから事情を聞こうと、所轄の本郷警察署
に向かう。しかしはすでに放免された後だった。
そんなに簡単に放免しても良いのか?多少違和感を感じる岡崎たち。
殺害された、帝国大学講師は高島と言った。高島は急進派で日本古来の
文化を排斥し、諸外国にならうべきだと強く発言していた。
同じ日、陸軍大佐も高島と同じような手口で殺害されたとの知らせが入った!!

明治時代の警察署が現代の警察の基礎になりつつある感じだ。

維新の立役者は、薩摩・長州、その出身者が明治政治を牛耳っている。
そういう影響が色濃く残り、様々なところで取沙汰されている様子が
非常によくわかる。
警察内の権力バランスもやはりそうだ。
また、この時代では、維新とは言わず、瓦解と言う言葉を使って
江戸と明治の境目を語っていたようだ。
幕末から明治維新後の様子を市井の側から語れているのは
とても新鮮に映った。

興味深かったのは、伯爵の孫で探偵の西小路や、一般市民を
警察の協力者として捜査に加わっているところがとても
面白いと思った。

特に実在の人物を架空の人物に絡ませ捜査をすすめる
過程に感激した。
明治時代に活躍した人たちの名前が数多く登場する。
知っている人物の名前が捜査上であがってくると
思わずニヤけてしまった。

明治時代の警察小説ではあるけれど、とても新鮮に感じた。
今野節はここでも炸裂しています!!

『サーベル警視庁』
著者:今野敏
出版社:角川春樹事務所
価格:¥1,600(税別)