謎の安楽椅子探偵登場!西澤保彦氏『腕貫探偵』

最近、ユーモアミステリーが大人気!はまさきもブームに乗り、ちょっと読んでみようかなと手に取ったのが、西澤保彦氏の『腕貫探偵』(実業之日本社文庫)。このタイトルのインパクトに惹かれて読み始めたら、不思議なミステリーワールドにはまってしまいました・・・。

『腕貫探偵』は、ユーモアたっぷりの7つの連作短編集です。
大学、病院、警察署など、突如現れる「市民サーヴィス課臨時出張所」。
そこには眼鏡をかけ、やせ細り、公務員のトレードマーク‘腕貫’をした、奇妙な男が座っていた・・・。悩める市民たちは、その男に導かれるように、ついつい相談を持ちかけてしまう。
第一話『腕貫探偵登場』では、そんな彼の謎解きの凄さを示すかのように、遺体が移動したミステリーをさらりと解決。
な・・なんで話を聞いただけで、謎が解けるの!?と突っ込みたくなるくらいスゴイ。
日々たくさんの人と接しているから、人間観察が半端じゃないのか・・・。
その後、次々に持ち込まれる悩みにも的確にアドバイス。
第二話の『恋よりほかに死するものなし』は、結婚間近の母が突然ウツに!?幸福絶頂のはずなのに何故?
第3話『化かし合い、愛し合い』は、プレイボーイの男が絶対に浮気はしないと誓った彼女に内緒で二股!それがバレた!復縁はありか?
第四話『喪失の扉』は、大学の事務局長を退職した男が、自宅で見つけた二十年前の学生証の束・・・。いったい誰がなんのために・・・。
第五話『すべてひとりで死ぬ女』は、公園のトイレで亡くなった人気女性作家。評判のレストランに来店しながら、大好きな料理を食べなかったのは?
第六話『スクランブル・カンパニイ』はセクハラ男たちをこらしめるために、女性社員が企てた計画が・・・。!!
第七話『明日を覗く窓』は絵画展会場の最終日、片づけをしたら箱と絵の数があわず、盗まれたと思ったら出てきた。でもなんで・・・。などなど・・・・。
気になってしょうがない。でも答えが見つからない。
そんな悩みや謎を、鋭い洞察力で解明する。
ユーモアと謎解きの絶妙なバランスが心地よく最高です!
どれもホントに面白いのですが、いままで硬派なミステリーばかり読んでいたはまさきが、特に気になった作品は第四話の『喪失の扉』。ちょっとシリアスに描かれています。
腕貫さんのアドバイスで、徐々に記憶が甦ってくる怖さがじわじわと伝わってきて、これぞミステリー!と云う感じ。7編中、一番好きな作品です。

この腕貫探偵さん、実は第2弾『腕貫探偵、残業中』が6月発売予定です。腕貫さんにすっかりはまった、はまさき。第2弾が待ち遠しい~。

『腕貫探偵』
著者: 西澤保彦
出版社:実業之日本社
価格:¥600(税別)