15歳の少年のひたむきさに涙。「特捜部Q知りすぎたマルコ」

北欧の人気警察小説シリーズ「特捜部Q」。
シリーズ第5弾は、15歳の少年・マルコが事件の
鍵を握るキーマンとして登場。

15歳といえど、このマルコの行動力に目を見張る!!!

2008年秋、カメルーンで農業開発援助の
プロジェクトリーダーの青年が何者かに
殺害された!!青年は最後の力を振り絞ってメールを打つ。
その青年から届いたメールに不審を抱き、連絡を
とろうとする外務省上級参事官のスターク。
カメルーンで何が行われているのか?
外務省開発援助事業評価事務局の局長である、上司のレ二に調査を
進言するが、スタークが強制的にカメルーンに出張させられる。

2010年、デンマークのコペンハーゲン。小さな町で、15歳の少年・
マルコは、叔父が牛耳る窃盗団での仕事に嫌気がさし家出を考えていた。
ある時、叔父たちの恐ろしい秘密を知ってしまい逃亡する。
そして逃げ込んだ森であるものを発見する。
マルコに秘密が知られてしまい、さらに窃盗団一の切れ者
マルコを失ってはどうなるかわからないと判断した叔父は、
何が何でもマルコを連れ戻す、さもなくば消す!と決意する。

そして2011年、コペンハーゲン署・特捜部Qのカール・マーク警部は
前回の事件で大けがを負ったアサドと紅一点のローセとともに新たな
未解決事件に向きあっていた・・・。

今回も登場人物の行動によって年代が前後している。
特捜部Qの行動のみが現在進行だ。
それぞれの年代で起こった事件を、カール達が
ひも解いてゆき、事件の全貌が繋がってゆく。

それにしても、今回はキーマンのマルコのキャラが素晴らしかった。
非道な追跡者たちの追及をかわしまくり、すんでのところで逃げ切る。
カール達も途中でマルコの存在に気がつくが、なかなか保護できない。
追跡者たちのあまりのしつこさに、読んでいて、もういい加減に
マルコを助けてあげてよ!!!と何度も思った。

そして、第5弾まで読んでも、カール、アサド、ローセの3人の
キャラが把握できず、いつも振り回されている感が
あったが、マルコのおかげでこいつらほんとは
めっちゃ優しいんだなあ~ということがわかった。

さらに、カールのプライベートにも変化が訪れる。
「知りすぎたマルコ」の面白さはシリーズ中一番だと思う。

『特捜部Q 知りすぎたマルコ』
著者:ユッシ・エーズラ・オールスン/吉田薫訳
出版社:早川書房
価格:¥2,000(ポケットミステリ版)
   上下各¥800(ハヤカワ文庫版)
(いずれも税別)