ラスト一行の衝撃!米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』

米澤穂信氏の学園青春ミステリー『氷菓』(角川文庫)がアニメ化され、4月から放送開始されました。米澤さんには以前から注目していたので、ちょっと嬉しい!
米澤さんは、さわやかな学園青春ミステリーを描いてる中で、なんとホラータッチのミステリー小説も描いているのです!しかもかなり怖い・・。米澤流暗黒ミステリを紹介します。

『儚い羊たちの祝宴』(新潮文庫)の物語は、五編の連作短編から成り立っています。
夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」の夏合宿の前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。
その後、毎年吹子の近親者が殺害され、4年目にはさらに凄惨な事件が起こる。
優雅なはずの「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。明るく聡明な女性会員たちが起こす残虐な仕打ち・・・・。
ミステリの醍醐味・・・・それは終盤に用意されている、‘大どんでん返し’。それが鮮やかであればあるほど、読者の衝撃度は増す。
しかしこの作品は終盤どころではなく、ラストの一行にこだわり続けた「ラスト一行の衝撃」なのだ。この一行で読者はノックダウン!不気味な読後感(なんだ?この世界は???)。でもでもなぜか不思議な面白さが残る!!
背筋が凍りつく!暗黒世界を堪能できる!ホラーミステリーの傑作!

『儚い羊たちの祝宴』
著者: 米澤穂信
出版社:新潮社
価格:¥520(税別)