猟奇殺人犯を追う超酒好き女刑事!?「スカーフェイス警視庁特別捜査第三係・淵神律子」

「SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室」、
「生活安全課0係」シリーズなど、今人気の
警察小説を描き続ける、富樫倫太郎さんの
異色の警察小説です。

連続猟奇殺人犯・ベガを追いつめた、淵神律子と先輩刑事。
だが、先輩刑事はベガに刺され大怪我を負ってしまう。
たった一人で犯人と対峙する淵神だったが、犯人の素早いナイフ
さばきで顔と腹に傷を負ってしまう。そのショックで拳銃を撃ち損じ、
あと一歩というところで取り逃がしてしまった。
大失態をしでかした淵神・・・。
ベガ逮捕に執念を燃やす、淵神は、その思いを忘れないように、
顔の傷はそのまま残した。

それから4年後、最強の女刑事に成長した淵神は、
次々と凶悪犯を逮捕してゆく。
だが、その荒っぽいやり方は、警視庁内部でも
問題視されるようになっていった。

淵神は、仕事のストレスを強い酒を飲むことで発散していた。
自分では認めていないが、アルコール中毒だった。
不遇な家庭環境の中で育ち、最愛の弟を亡くし、
心に深い傷を背負ったまま、刑事という職業を選ぶ。
まるで自分自身を痛めつけるような無謀な選択・・・?
だが、ルームメイトの看護師・景子の優しさが
淵神の唯一の癒しだった。
そして、景子にも誰にも言えない過去があり、
その重さに耐えきれずにいた。

物語は2部構成。「スカーフェイス」は、
淵神律子の刑事として能力の高さと強さが描かれる。
他の男性刑事に嫉妬されるほどだ。
だから、女刑事を認めない男性刑事からは憎まれる。
「警視庁特別捜査第三係」は、未解決の事件ファイルを
整理する閑職。そこへ左遷された淵神は、新たなスタッフとともに、
ベガの事件を追うことを決意する。

主人公・淵神律子のキャラクターが物凄くリアル。
男社会の中で、結果を出さなくてはならない女性の
苦悩や焦り、能力はあるのに認められない
という激しい憤りが手に取るようにわかり、
共感せずにはいられない!

そして、因縁の猟奇殺人犯・ベガの正体に迫ってゆく
展開がスリリングで面白い!

こちらもシリーズ化して欲しいほど、魅力的な主人公と
ストーリー。

『スカーフェイス 警視庁特別捜査第三係・淵神律子』
著者:富樫倫太郎
出版社:幻冬舎
価格:¥1,600(税別)