謎多きフェルメールの姿が生き生きと描かれる「フェルメールの街」。

「シンデレラの告白」の著者、櫻部由美子さんの
待ちに待った新作が発売されました。

「シンデレラの告白」は誰でも知っている
おとぎ話をモチーフにし、幻想的かつ精緻な
大人のミステリーに仕上げ、その完成度の高さで
第7回角川春樹小説賞を受賞。
本当に素敵な物語で、はまさきの大好きな作品。

そして第2作目「フェルメールの街」は、日本人が大好きな
画家、ヨハネス・フェルメールを主人公に、
親友、アントニー・レーウエンフックとの友情
そして妻となる女性との運命の出会いがドラマチックに描かれている。
若きフェルメールたちが暮らしていた、デルフトという街は
陶器の名産地。その頃、陶工が失踪するという事件が起きていた。

当時のデルフトという街は一部そういうきな臭さはあったようだ。
子どもの頃に親友同志だった、フェルメールと後に微生物学の
礎となる科学者・レーウエンフック。
レーウの引っ越しで別れてれてしまうが、大人になってからデルフトで再会する。

気弱で引っ込み思案だった、レーウは明るく華やかな美青年に成長していた。
服の商売をしていたため、とてもおしゃれだった。
再会を喜び合った二人はたちまち意気投合する。

その頃、フェルメールは、著名な画家の弟子となり、絵の修業の
真っ最中だった。絵の題材を求め、娼館のあたりにも出かけた。
フェルメールはそこで、ひときわ目を惹く一人の女性と出会う。
良家の子女でありながら、なぜか娼婦のまね事をする奇妙な女性。
強がっているけれど、はかなげなその女性に強烈に惹かれた
フェルメールは、結婚を申し込む・・・・。

そんなある日、フェルメールとレーウは散歩途中で、
老人の変死体を発見してしまう・・・。

フェルメールは故郷・デルフトにとても愛着を感じていたらしい。
子どもの頃からの仲間たち、愛する女性、親友との日々。大切な家族・・・。
フェルメールが愛して止まないこのデルフト。
だが、デルフトの街を巨大な「悪意」が黒くおおいつくそうとしていた。

フェルメールを巡る物語に味付けされた、ミステリアスな事件。
それを発端に、やがて大きな悲劇がデルフトを襲う・・。

魅力的なキャラクターと数々の名画に彩られたフェルメールの新たな物語。
虚実織り交ぜドラマティックに描かれた物語に魅了される。

『フェルメールの街』
著者:櫻部由美子
出版社:角川春樹事務所
価格:¥1,400(税別)