「デッドマン」の‘鏑木特捜班’再集結!「ドラゴンフライ」

横溝正史ミステリ大賞受賞作「デッドマン」の第2作「ドラゴンフライ」。
「デッドマン」で難解な殺人事件の真相を暴いた
鏑木警部補率いる「鏑木特捜班」が再集結した。

ひらめきと刑事の勘が冴える・鏑木警部補、べらんめぇ口調
で鏑木と同期の正木警部補、お金持ちで先輩にも
時々上から目線、けれども真面目で今風の若者・
姫野巡査、科警研でプロファイリングが専門、
頭が切れる澤田。
この4人が、新たに起こった猟奇殺人事件に挑戦する。
「デッドマン」以上の面白さで物語が展開する。

多摩川の河川敷で、内臓のほとんどを抜き取られた
惨殺死体が発見された。
警視庁捜査一課の鏑木警部補率いる特別捜査班は、
現場に残されたトンボのアクセサリーを手掛かりに
群馬県奥地の村へ向かう。
トンボのアクセサリーは手作りだったため、作成者は
すぐに判明した。その村をこよなく愛する女性だった。
鏑木たちがアクセサリーの写真を見せると女性の表情が
曇った。そして惨殺死体の身元が割れたのだ。

被害者は女性と同村出身の男性だった。
子どもの頃からトンボが大好きで、大人になってからは、
トンボが多く生息する奥の沢の自然を守ろうと必死になっていた。
だが、奥の沢はもうじきダムの底に沈む・・・・。

そしてそのトンボのアクセサリーからさらに、被害者の
人間家系が浮かび上がってきた。
被害者の男性には2人の幼馴染がいた。
ひとりは建築家、そして奥の沢のダム関連で仕事をしている。
もう一人は、生まれた時から目が不自由な女性だった。
子どもの頃男二人で、盲目の女性をずっと守っていたらしい。
しかし、彼女の両親は20年前に何者かに殺害されていた。

鏑木は、その両親殺害事件と今度の猟奇事件が繋がっている
ような気がしてならない。
またもや刑事の勘とひらめきが、あとの3人を動かすのだった。

ダム建設の裏で動く莫大な建設費と不正疑惑、そしてダム建設反対運動、
巨大なトンボ伝説などなど事件との関連が次々と明らかになってゆく。

次々と深まる謎、鏑木の推理、それを打ち砕くがごとく
新たな謎が現れる・・・。
やがて、事件に絡んで必ず登場する、不気味な符牒「トンボ」
の導きで謎のピースが一つに合わさった時、
胸が潰れそうな非情な真実にたどり着く・・・。

読めば読むほど面白さが増す、「鏑木特捜班」シリーズ。
次は「ダンテライオン」!

『ドラゴンフライ』
著者:河合莞爾
出版社:KADOKAWA(文庫)
価格:¥840(税別)