政界の深い闇に斬りこむ!「トップリーグ」

「震える牛」「血の轍」「不発弾」等で、日本の
経済・金融界の闇を抉り出してきた、相場英雄さん。

今回は、政界の深い闇に斬り込んでいます!
「戦後最大の政治疑獄」と呼ばれ、‘元’総理大臣が
初めて逮捕されたあの事件の裏側に迫ったフィクション。
しかし、これは本当にフィクションなのか?と思ってしまいます。

発行部数400万部を誇る、中堅在京紙・大和新聞の松岡は、
入社15年で経済部の敏腕記者だ。
ところが、突然政治部へ異動になり、官房長官番となった。
松岡は官房長官お気に入りの記者となり、またたく間に
トップリーグ(総理大臣や官房長官、与党幹部に食い込んだ
ごく一部の記者のこと)へと上り詰める。

一方、大和新聞で松岡と同期入社だった酒井は、現在
大手出版社で週刊誌の記者をしていた。
ある時、興味深いニュースを聞く。
五輪関連施設建設地から、一億五千万円もの金が入った
金庫が発見されたとのニュースだった。
担当所轄の刑事課長に詳しい話を聞くと、発見された
紙幣は、福沢諭吉ではなく聖徳太子だという・・・。
しかも金庫は大正末期から昭和初期に使用されていた
ような年代物だと・・・。
さらに、紙幣を束ねてある帯封は日銀のものと、
もうひとつは、現在では大手メガバンクに
吸収された、長期信用銀行系のものだった。
その銀行は「日本不動産信用銀行」通称「日不銀」。
その銀行名を聞いた酒井は、バブルがはじけた1990年代前半、
当時の与党副総裁と秘書が、脱税容疑で東京地検特捜部に
逮捕された事件を思い出した。
「日不銀」は戦前戦後にわたり政界の専門銀行のような
役割を担っていた。

発見された聖徳太子が日銀から「日不銀」へと
送金された時期が1973年(昭和48年)だと確認した
酒井は、当時の銀行関係者から取材を始めた。
その取材は、やがて政財界を巻き込んだ政界最大の汚職事件
‘クラスター事件’にぶちあたる・・・・。

永田町、官邸最大のタブーと言われるあの事件の顛末!
政治家からクリーンなイメージをすべて奪い去った
「戦後最大の政治疑獄」をモチーフに描いた
フィクション。小説だからこそ描けた政界の闇!

これが「戦後最大の政界汚職事件」の真実だと思わせる
ほどのリアルさ!小説に登場する閣僚たちの名前に、
実際の事件の当事者たちの名前をあてはめながら読んで
いくと、事件の真相が見えてくる・・。そんな気がしてくる!

どれほど不正を暴こうとも、鉄壁の要塞に阻まれる。
翻弄され、それでも正義を貫こうとする記者たちの
‘魂’に心が揺さぶられる!

『トップリーグ』
著者:相場英雄
出版社:角川春樹事務所
価格:¥1,600(税別)