人気作家競作!「共犯」がテーマのアンソロジー集。

ハルキ文庫の「共犯関係」を読みました。
今、人気急上昇中のミステリー作家さんたちの
短編アンソロジー集です。
秋吉理香子さん、友井羊さん、似鳥鶏さん、乾くるみさん
芦沢央さんらの競作!

どの短編も読者をやすやすと裏切る!
「ひねり」というスパイスが強烈に効いた傑作揃い!

「Partners in Crime」秋吉理香子
ナルシストを気取った妻帯者がバーで出会った女。
夫に隠れ浮気を楽しむ、W不倫の関係に。
きわどい恋愛ゲームを楽しんでいたはずが、
女の方が執着し始めた。
深刻になるまえに別れたい・・・。
だが女は次第にストーカーに変貌してゆく・・・。
クライマックスに用意された「共犯関係」の鮮やかな
逆転劇に眼がくらむ!!

「Forever Friends」友井羊
夏祭りの日、少年と少女は街を出ることに・・・。
「転校」という別れに反旗を翻すかのような
2人の行動。しかし少女には秘密があった・・・。
子どもたちの行動が切ない展開に・・・。
思わず胸キュンのラスト。

「美しき余命」似鳥鶏
交通事故で両親を亡くし、生き残った少年も
事故の後遺症で余命3年という難病を患うことに・・・。
親戚に引き取られた少年は、その家族の優しさに
包まれ死にゆくはずだった・・・のに奇跡が起きた。
予想外の出来事にどう反応したら良いのか
わからない登場人物たちの微妙な心理状態を、
目を疑うようなクライマックスに着地させ、
見事な共犯関係を完成させた凄いミステリ!

「カフカ的」乾くるみ
高校時代、手紙のやりとりで親交を深めていた
友人と電車の中で再会した女性。
卒業してから疎遠になっていたが、友情が復活。
お互いのプライベートを話している内に、
その友人が「交換殺人してみない?」と言った。
冗談だと思ったが事態は思わぬ方向に動いていく。
この作品自体が不気味な雰囲気を漂わせている。
読んでいくと次第に背筋が凍るような・・・怖さ。

「代償」芦沢央
デビュー後、ヒット作に恵まれずにいたミステリ作家。
だが、今回描いた作品は自分でも自信作と
太鼓判がおせる会心作だった。いつものように
妻にまっさきに読んでもらうと、意外な事実が!
酷似した作品がネット上に上がっているという・・・。
疑心暗鬼の心理描写が半端ない!戦慄もの。

短編ミステリーの醍醐味を堪能できる!凄すぎる5編。

『共犯関係』
著者:秋吉理香子/友井羊/似鳥鶏/乾くるみ/芦沢央
出版社:角川春樹事務所(ハルキ文庫)
価格:¥640(税別)