ロマンあふれるサスペンス小説の傑作!夏樹静子「第三の女」

夏樹静子さんの作品と言えばテレビの
2時間ドラマの原作に使用されることが
多かったように思います。

ドラマを視てしまうとどうしても原作から
遠のいてしまい、なかなか読む機会が
ありませんでしたが、たまたま「第三の女」の
POPを書くことがあり、読みたくなって先日
初めて読みました。

「第三の女」を読んでみて、あまりに面白かったので、
自分の中の夏樹静子観が変わってしまいました。

ある嵐の夜、パリ郊外のバルビゾンで
一組の男女が出会った。運命的なゆきずりの恋。

その時二人が暗黙の内に交わした約束。
それは動機なき殺人事件へと繋がってゆく。

事件は福岡で起こり、その後箱根で起こった。
それぞれの事件には目撃者がいたため、
それらしい人物をマークするのだが、
刑事たちも容疑者が絞り込めなかった・・・。

男の高まる恋心・・・・
女性の気高くも哀しい愛の心理・・・。
格調高いラブロマンスでありながら、
殺人計画というスリリングな展開、
息を呑むどんでん返しの連続は
迷宮に迷い込んだような感覚になる・・・。

「第三の女」とは一体誰なのか・・・?

夏樹さんの描く世界観は非常に格調が高く、
フランスのミステリー作品を読んでいるような
錯覚に陥りました。

夏樹作品、しばらく追いかけてみようかなと思います。

『第三の女』
著者:夏樹静子
出版社:集英社(文庫)
価格:¥533(税別)