悪徳弁護士・御子柴シリーズ第4弾「悪徳の輪舞曲(ロンド)」

「贖罪の奏鳴曲」で主人公・御子柴礼司に衝撃を受け、
「追憶の夜想曲」は怒涛の大どんでん返しに唖然・・・。
「恩讐の鎮魂曲」は想像を絶する真相に驚愕!。

このシリーズは形容しがたいほど面白すぎる!!!
そして、先日第4作「悪徳の輪舞曲(ロンド)」が発売。

「追憶の夜想曲」で辣腕弁護士・御子柴の過去が暴かれた!
それでなくても、御子柴の悪辣な弁護方針は蛇蝎のごとく嫌われていた。
その上、信じがたい過去がプラスされれば、御子柴はもう弁護士として
法曹界では生きてゆけないほどのダメージ。

元恩師の弁護で彼を助けたい一心だった御子柴だったが、
結局恩師を助けることが出来なかった。
恩師の事件は、御子柴の心をかき乱した。・・・。

そして今回の依頼は、すでに絶縁した家族からの依頼。
御子柴の母親が、再婚した夫を自殺に見せかけて殺害した
容疑で逮捕されたから弁護してほしいと、妹が依頼してきた。

御子柴にとって、園部信一郎時代の家族など無いに等しい。
御子柴が本当の人間として目覚めたのは、14歳の時「死体配達人」
として世間を震撼させたあと、更生施設で恩師に出会ってからだ。
だから、母親の殺人事件などただの依頼人と弁護人との
関係だと妹に言い放った。妹は御子柴を忌み嫌っていた。
彼のせいで人生のすべてを奪われたからだ。
父は御子柴の事件に苦しみ自殺。母と妹は御子柴の家族だと
知れぬように秘かに生き、妹は婚約までしたのに結局婚約者に
ばれて破談になってしまった過去があった。

それでも依頼は依頼だ。御子柴は母親と接見。
母親は容疑を否認した。この女は本当の事を言っているのか?
御子柴の胸に小さな疑惑がわきあがったが、母親の過去と
再婚した夫の調査を開始する。

またもや、冒頭のシーンからありえない展開が待っている。
母親は本当に殺人犯なのか?と思っているところで‘これ’だ。
著者はどこまで読者を翻弄する気なのか?

御子柴VS母親、そこに絡む槙野検事。
圧倒的不利の状況で、御子柴は母を解放することが
出来るのか?それとも母も殺人者なのか?
30年ぶりに再会した肉親に激しく心乱される御子柴。
彼の人間らしい側面が垣間見られる本作も
信じがたいトリックと真相にノックアウトさせられる!!

『悪徳の輪舞曲(ロンド)』
著者:中山七里
出版社:講談社
価格:¥1,600(税別)