斬新な展開の医療ミステリー「黙過」

江戸川乱歩賞受賞作「闇に香る嘘」の
衝撃再びか!?

こんな斬新で深いテーマで描かれた医療
ミステリーは読んだ事がありません!!
とんでもなく面白かったです。

交通事故により意識不明になった患者が病室から
消えた!?同じ頃、心臓移植を待つ患者がいた!
脳死の性急な判定に疑問を持つ。“移植手術”の
葛藤を新米医師の視点から描いた、「優先順位」。

人間には生きる権利とともに死ぬ権利があっても良いのでは?
“安楽死”を願う父の姿に苦しむ息子を描いた「詐病」。

母豚の胎内から全ての子豚が消えるという、
養豚場で起こった不可解な事件。
さらに、過激な動物愛護団体からつきつけられた
究極の問い・・・・。『命の天秤』

真面目な学術調査団が犯した罪とは何か?
まさか、娘の病気のために不正を働いたのか!
真相を探るジャーナリスト。『不正疑惑』。

患者を活かす手術!しかしその手術は希望なのか
それとも絶望なのか?信じがたい医療の現場を
描く最終章!『究極の選択』

今まで読んだ医療もののミステリーと違い、
人間の命の尊厳についてだけでなく、
命あるもの全ての生死についての問題提起が為され、
深く考えさせられた。
ストーリー構成も非常に斬新。
4つの短編医療ミステリーは、読んだ当初
何の繋がりもないかに思われたが、
最終章ですべて繋がった時の驚き!
今の日本の医療の様々な問題に
真正面から向き合った医療ミステリー。

『黙過』
著者:下村敦史
出版社:徳間書店
価格:¥1,600(税別)