嫌ミスなのに読後はスッキリ!?「誤算」

帯のコメント「こんなに面白い本10年間も眠らせていてすみません!」に
つられて手に取りました。
なんと、第27回横溝正史ミステリ大賞・テレビ東京賞受賞作!

なんとテーマは「遺産相続」!。
2時間のサスペンスドラマではよくあるけれど・・・。
小説で読んだのは久しぶりです。

美人だけれど、まじめすぎて融通が利かない主人公・奈緒。
有能な看護師だが、その性格で職場ではちょっと浮いてる?
さらに、だめんず夫のせいで貯金はすべて底をつく。
心を病んだ奈緒は夫と離婚。仕事もやめて心機一転を図る。

そんな奈緒に住み込み看護師の仕事が舞い込んだ。
患者は、資産家のわがままな気難しい老人。
奈緒は老人のために必死に看護をした。
やがて、寝たきりに近い状態だった老人は、
奈緒の看護で軽い散歩が出来るまで回復した。
奈緒の性格がここでは威力を発揮したのだ。

しかし老人の回復を快く思わない連中がいた。
それは老人の家族たち。莫大な財産を目当てに
彼らは欲をむき出しにし足を引っ張り合っていた。
呆れる奈緒だったが、彼女にも遺産相続の
チャンスが訪れる!

人間のお金への執着はほんとに凄いと思う。
家族なのに、お金のために自分の父親の死を願う。
そこに巻き込まれる主人公・奈緒。
よくある遺産相続問題での事件かと思って読んでいたが、
物語は意外な展開を見せる。
ほう~こんな面白い方向へ・・・!

まじめ過ぎる、主人公奈緒に共感。
読んでる間中応援していました。

『誤算』
著者:松下麻理緒
出版社:KADOKAWA(文庫)
価格:¥640(税別)