究極の心理サスペンス『彼女の恐喝』

藤田宜永さん初のサスペンス小説
「彼女の恐喝」(実業之日本社)
を読みました。

出版社の編集者を夢見る平凡な女子大生・圭子。
六本木のクラブで働きながら大学生活を送っていた。

ある台風の夜、マンションから一人の男が飛び出してきた。
その男を圭子は知っていた。クラブの客で、人材派遣
会社の社長・国枝だ。
翌日のニュースがそのマンションの一室で殺人事件が
起こったと報道していた。
圭子の頭に、昨夜飛び出してきた国枝の顔が浮かんだ。
まさか!?国枝が犯人なのか?

就職が思うように決まらず、心が荒む圭子。
そのストレスはやがて、国枝へと向かう。
そして殺人事件をネタに、圭子は国枝に
脅迫状を送ってしまうのだった。

のっぴきならない状況で、人間の心はどう動くのか?
あまりにも切実な心を抱えると、人は犯罪にまで
手を染めてしまうのか・・・?
脅迫状を送ってしまったという罪におののきながら、
圭子は国枝と密会を続ける・・・。

読者が推理する事件の行方よりも、
この作品では、圭子や国枝といった登場人物の
心理描写が物語の根幹となっている。

彼女らの感情の変化がもたらす物語の行方は、
想像を絶するクライマックスへと繋がってゆくのだ。

心が揺さぶられる、究極の心理サスペンス!

『彼女の恐喝』
著者:藤田宜永
出版社:実業之日本社
価格:¥1,600(税別)