圧巻の展開!「真実の檻」

「闇に香る嘘」で江戸川乱歩賞を受賞された
下村敦史さんのリーガルミステリー
「真実の檻」(角川文庫)を読みました。

乳がんで亡くなった母の遺品を片付けるため、
大学生の石黒洋平は、実家へもどった。
父は、弱ってゆく母を看たくないという理由で
家を出てしまっていた。
そんな母の遺品から出てきたのは一枚の写真。
その写真から、実の父親が死刑囚・赤嶺信勝で
あることを知ってしまう。

今まで父と信じていた石黒剛は、本当の父親では
なかった!その衝撃と実の父が死刑囚という
Wの衝撃で洋平は打ちのめされた。

「赤嶺事件」と呼ばれるこの事件は、
検察官である赤嶺信勝が、婚約者の女性の両親を
惨殺した事件だ。
つまり洋平の祖父母にあたる人たちは実の父に殺された
事になる。そして、実の父の死刑執行はいまだ行われていない。

苦悩する洋平は、赤嶺事件の真相を追う雑誌記者
夏木涼子と出会う。涼子は赤嶺犯人説に疑問を
抱いていた。
洋平は「冤罪」の可能性に賭け涼子と共に調査を始める・・・。

国家権力により、無実の人間が罪に陥れられる。
その恐ろしさ、「冤罪」とはこうして作られる
ものなのか・・・・?
日本の司法制度に鋭く斬り込んだ社会派の作品。
しかしそれだけではない。

めまぐるしく変化する犯人像!
赤嶺は本当に犯人なのか!?
事件の真相を追うその過程が面白過ぎる!
迫真のリーガルミステリー。

『真実の檻』
著者:下村敦史
出版社:KADOKAWA(文庫)
価格:¥680(税別)