新感覚のホラーミステリー「呪いに首はありますか」

岩城裕明さんの「呪いに首はありますか」
(実業之日本社)を読みました。

この表紙、インパクトあり過ぎ!ホラー好きなら
絶対に手に取りそう。

久那納家は「久那納家の長子は、三十歳までに必ず死ぬ」。
という不可解な「呪い」をかけられている。
この呪いを解くには、残留思念体=「幽霊」を
ワクチンとして集めることが唯一の方法だという。

二十八歳になった、久那納恵介は、自称「心霊科医」として
相棒の墓麿とクリニックを営んでいる。
そして、多種多様な「患者」の相談を受け、
呪いが解ける日を目指している。

‘‘幽霊の死体’’に困惑する、男性の依頼を受ける。
幽霊の死体って?すでに死んでいるから幽霊だろう・・・?
その意味するところは何?

誘拐された娘を探してほしいとの依頼を受けた恵介。
それは警察に相談した方が良いのでは?
しかし、返ってきた答に驚愕!
「誘拐された娘は幽霊だ」と、母親は言った。

料理好きの夫と離婚し、別の男性と再婚した女性が
夫の変化について語った話が物凄く不気味。
それを取材したテレビ番組のプロデューサーから
話を聞いた恵介たち。彼女から直接話を聞くことに・・・。

犬のかっこうして歩いている男性の幽霊は
ある少年と目があってしまう。
あの子には見えている?それからその男は
少年のそばを離れなくなった。そんな男の幽霊を
描く少年。不気味に感じた少年の母親は
クリニックに相談にきた・・・・。

とても斬新で、不気味で面白い展開の短編集。
あとからじわじわと怖さが身に沁みてくるよう!

そして、久那納家にかけられた呪いは解けるのか?
幕間に挿入された久那納家の呪いの始まりと
解呪の物語。
ラストに用意されたその方法に、
恐ろしさと切なさで胸が苦しくなる。

『呪いに首はありますか』
著者:岩城裕明
出版社:実業之日本社
価格:¥1500(税別)