新展開!?「法医昆虫学捜査官 紅のアンデッド」

大人気警察小説シリーズ「法医昆虫学捜査官」。
最新作は「紅のアンデッド」です。

事件現場に残された、3人の切断された左手の小指。
死体なき殺人事件に、岩楯刑事と新たに組織された
「捜査分析支援センター」の赤堀博士と
プロファイラー・広澤春美が挑む!

古い一軒屋で発見されたのは、3人の切断された
左手の小指と、大量の血痕。

真夏の盛り、岩楯刑事と相棒の鰐川は近所の聞き込みを
続けていた。
捜査本部の方針はとんでもない方向へと向かいつつある。
1ヶ月間、なんの手掛かりもない。捜査は完全に
行き詰まっていた。

新しく組織された、「捜査分析支援センター」で
昆虫学者の赤堀は正式採用となり、さらに
プロファイラーの広澤春美を置いた。

赤堀は、3人の切断された指のうち1本に出現した
昆虫の大きさが違うという。なぜなのか?
ここに大きなヒントが隠されているのではという。
だが、プロファイラーの広澤が出した犯人像は
捜査本部が納得できるようなものではなかった。
しかも、過去に同様の事件がおき未解決に
なっているとの指摘付きだ・・・。

岩楯刑事たちも、二人の分析結果をすべて鵜呑みに
したわけではない。
しかし赤堀がこれまでやってきた昆虫の生態からの
犯人像の割り出しは、成功といって良いし、
広澤の心理学者としての怜悧な分析は、
先の見えない捜査にはプラスにはなるはずだ。

岩楯たちは聞き込みを続けていった結果、
これまでの聞き込みでは出てこなかった
事実に辿りつく。
それは、事件のあった夫婦に関することだった。
その夫婦には秘密があったらしい・・・。

岩楯たちの聞き込みと、赤堀たちの動きで、
人間たちの闇が次第に明らかになってゆく。
その過程が非常に面白い。
人間のエゴが究極の事件を生んでゆく・・・。

また、赤堀の過去が少しずつ明らかになる今作。
あの並外れた明るさと空気の読めなさは
どんな過去から来ているのか?

今回も犯罪現場に蠢く虫たちが事件の真相を暴く!
しかし一筋縄ではゆかない。
さらに、プロファイラーの着眼点も加わり、
面白さが増している。

新たな組織で次はどんな事件と出会うのか?
楽しみです!

『紅のアンデッド 法医昆虫学捜査官』
著者:川瀬七緒
出版社:講談社
価格:¥1,500(税別)