小説だから描ける「3億円事件」のカラクリ。「1968三億円事件」

1968年に起きた、3億円強奪事件。
犯人は白バイ警官になりすまし、ある会社の
給料、3億円分を積んだ現金輸送車から
いとも簡単に奪い去った。
目撃者がいたことから、すぐに犯人は捕まると
推察されたが、犯人も現金も永久に消え去り
迷宮入りとなった。

戦後最大級の現金強奪事件・・・。

その3億円事件をテーマに、5人のミステリー
作家が、競演した短編集が「1968三億円事件」。

事件と同じような計画を企てた若者たち物語、
事件の犯人に思いを寄せた女の子。
異国の地で事件に思いを馳せる男・・・。
警察の汚点となった事件の扱い・・・。

様々なストーリー展開に「3億円事件」の
影響の凄さを感じさせる。
この事件の真実は一体どんなものだったのだろう?

特に衝撃的で、印象に残った作品は、
下村敦史さんの「楽しい人生」。
日常を持てあましていた若者たちが
3億円事件に巻き込まれる物語だ。
読み終わった後、3億円事件の真実はこんな
ストーリーだったのでは思わせる!

迷宮入りしたが、今でも語り継がれる
「3億円事件」の謎にスポットを充てた
ミステリー。傑作の5編。

『1968 三億円事件』
著者:下村敦史/呉勝浩/池田久輝/織守きょうや/今野敏
出版社:幻冬舎(文庫)
価格:¥580(税別)