ナチス崩壊後のベルリンを活写!「ベルリンは晴れているか」

深緑野分さんの「戦場のコックたち」は2016年に
本屋大賞にノミネートされた作品。
戦場で起こる、日常のミステリーが描かれて
とても面白かった!とにかく戦場での日々が
とてもリアルに感じられた。忘れられない作品。

「ベルリンは晴れているか」は、ナチス崩壊後を
舞台に一人のドイツ人少女が必死に生きる姿を描く。

ナチス崩壊後のベルリンは、アメリカ・ソ連・
フランス・イギリスの4か国に統治されていた。
総統を失ったドイツ国民はこの4か国のルールに
従って生活していた。

ある日、主人公の少女・アウグステはソ連の兵士に
連行される。
アウグステの知人の音楽家が毒入り歯磨きを
使用したことによって、死んでしまったのだ。
容疑者は音楽家の甥だという。
ソ連兵大尉は、アウグステに甥の捜索を命じた。
同行するのは、ソ連の下級軍曹だった。
ところが、途中、元映画俳優と名乗る泥棒も
同行することになった。
奇妙な3人組は、旅の途中様々な事件と遭遇する。

戦争の爪痕が生々しく残るベルリン。親を失い
瓦礫の中で生活する孤児たち。彼らを利用する
心の荒みきった大人たち。
敗戦国のみじめさに日本の敗戦の様子が
重なる。そのリアルさは、二度と戦争が起きない
ようにとの祈りが込められているのかもしれない。

そんなベルリンを背景に描かれたもうひとつの
物語・・。音楽家はなぜ殺されたのか?
犯人は誰なのか?その謎解きだ。
幾重にも張り巡らされた伏線・・・。
あまりにも悲しいその真実に、胸が痛む・・・。

「戦場のコックたち」を超える圧倒的
スケールの歴史ミステリー。

『ベルリンは晴れているか』
著者:深緑野分
出版社:筑摩書房
価格:¥1,900(税別)