梅雨に読むのにぴったり、宮部みゆきさん『地下街の雨』

憂鬱な梅雨がやってきました~。はまさきはこの梅雨時は家に引きこもって本を読むのが好きです。なぜか、さらに鬱々した気分に浸れるような本ばかり読んでしまいます。この『地下街の雨』は、7つの短編が収録され、雨の日にコーヒーを飲みながら家でゆっくり読むのにぴったりと言える作品ばかりです。

表題作『地下街の雨』は、婚約破棄された麻子が、会社を辞め、新たな気持ちで地下街の小さな喫茶店で働き始める。そこにある女性が現れるが、その女性が何かと麻子に関わってくる。その関わり方が妙なのだ・・・・。不気味な女の正体とは・・・?
ほか『混線』は、電話を反社会的に使用する、電話魔たちに制裁が下される。その制裁とは?想像を超えた描写にただただ唖然となってしまう、ホラーファンタジー。
『ムクロバラ』は連続殺人をムクロバラの殺人と言い続ける、橋場という男。そのムクロバラの殺人に振り回されるデカ長の悲喜劇を描く。
『さよなら、キリハラさん』はある日家じゅうから音が消えてしまった一家のもとに、‘銀河系の研究者’が訪ねてくる。普通の家族に起こった不思議な現象を描いたファンタジー。
特に面白かったのはこの4作です。
ロマンチックミステリー、ホラー、ファンタジー、サスペンスと多彩。どれも切り口が違い、宮部さんの発想、想像力のすごさを改めて認識させられる。宮部さんの才能の良いとこどりのような短編集です。

『地下街の雨』
著者: 宮部みゆき
出版社:集英社
価格:¥514(税別)