怪異の謎を解く本格ミステリ「モノクローム・レクイエム」

仕事中、ふと徳間文庫の平台を見たら
小島正樹さんの「モノクローム・レクイエム」を発見!
まだ読んでない~と思わず購入。
小島ワールドへ入っていっちゃいました。

江戸川区に住む女子大生が深夜、不可解な現象を
目撃する。
誰もいないはずの隣家の窓に戦時中の
防空頭巾姿の人間が火中で苦しむ姿を見たというものだ。

警視庁特別捜査対策室五係は、奇妙な事件を専門に
扱う部署だ。
交通課から異動になった萬千尋ほか、怜悧な
イメージで近寄りがたい菱崎真司、人のよさそうな
稲葉実係長の3人が担当だ。

菱崎は女子学生の話を聞き、現場を確かめた。
やがて、菱崎は事件の真相にたどり着く!

奇妙な体験の裏に潜む「見えざる犯罪」を
引き出してゆく。これが五係の目的だ。

菱崎は、「櫂探社」という探偵事務所で探偵を
していたという異色の経歴の持ち主。
だが、菱崎には哀し過ぎる過去があった。

ネット上で奇妙な体験談を買い取る
「怪譚社」という掲示板がある。
菱崎はこのネット掲示板と関係があるのか
千尋は疑問を抱くが・・・・。

奇妙な体験談から見えざる犯罪を暴く五係と、
怪譚社で買い取られた体験談から事件が暴かれる、
そのストーリーが交互に描かれているが、
結末は、全く異なっている。

怪異としか言いようのない出来事をロジカルな
推理で暴き出す。
複雑なトリックが次々に明かされる。
その過程が小気味よい!
そして明かされた真相に度肝を抜かれる。

最大の見せ場は、菱崎を不幸のどん底に
突き落とし、闇に葬られたある事件の真相だ。

短編を紡ぎながら、最恐の「見えざる犯罪」を
白日のもとに曝す。

文句なしに面白い!
傑作の本格ミステリ5編!

『モノクローム・レクイエム』
著者:小島正樹
出版社:徳間書店(文庫)
価格:¥720(税別)