名探偵たちの謎に挑む!『法月綸太郎の消息』

法月綸太郎さんのシリーズ最新作、読みました。

今回は、世界的に有名な名探偵、
シャーロック・ホームズとエルキュール・ポアロ
など名作に隠された謎に迫る!
これが、とても興味深い内容で、作品にまつわる
周辺のミステリの名作なども引き合いにだされ、
凄く読みたくなりました。

「白面のたてがみ」
ミステリ作家・法月綸太郎は、ホームズ愛好家が
遺したある未発表の原稿から、ワトソン氏が登場
しない一人称で書かれた作品、「白面の兵士」と
「ライオンのたてがみ」2編の短編の裏に隠された
作者、コナンドイルにまつわる意外なトラップを
突き止めようとする。
コナン・ドイルが心霊主義に傾倒した件や、
チェスタトンの「ブラウン神父」シリーズと
比較するなど、ミステリファンが狂喜するような
ストーリー展開が素晴らしい!

「あべこべの遺書」
二人の人間が相次いで不審な死を遂げた。
一人は転落死、一人は服毒死。それぞれに遺書が
遺されていた。ところが、遺書は逆に置かれて
いたのだ。服毒死したほうに転落死したものの遺書が。
服毒死した方には転落死したほうの遺書という具合。
綸太郎は悩む父・法月警視を放っておけず、
あらゆる角度からロジックを駆使し、真相に迫る!
法月綸太郎が安楽椅子探偵に徹する!

「殺さぬ先の自首」
法月警視がまたまた不可解な事件の話をしてきた。
女性を殺害したという男が自首してきたが、
彼が殺したと言い張る女性は生きていた。
しかし、その女性は男が自首してきたあとに
殺されてしまったという。
綸太郎はまたしても、この難事件に挑戦することになる。
法月綸太郎の安楽椅子探偵っぷりが面白くなってくる。
都築道夫の「退職刑事」シリーズを意識した短編本格推理。

「カーテンコール」
綸太郎は、知り合いの俳優からアガサ・クリスティの
「象は忘れない」を舞台化すると聞かされる。
さらには、そのパンフレットに寄稿してほしいと依頼された。
その後脚本家も含め打ち合わせの時間を設けたが、
その場にきたのは、国際クリスティー評議会の肩書を持つ
男だった。
クリスティーが生み出した名探偵、ポアロ最後の事件
「カーテン」中に出てくるある仮説。
著者のクリスティーが「カーテン」に仕組んだ企みの
真偽を問う。
ギリシャ神話と、クリスティーの数々の名作を背景に
語られる展開に唖然!
これを読めば、クリスティーに詳しくなる!?と
言えるくらい奥が深い、面白い!

数々の名作をリスペクトしている、法月さん。
名作に対する深い愛情が詰まった傑作の短編集。

ドイルやチェスタトン、クリスティーが読みたくなる、
ミステリーの世界にどっぷりと浸りたくなりました。

『法月綸太郎の消息』
著者:法月綸太郎
出版社:講談社
価格:¥1700(税別)