誘拐をテーマに描く、驚愕のミステリー『消えた断章』

大好きな作家さん、深木章子さんの「消えた断章」
(光文社)を読みました。

どの作品も想像をはるかに超えた結末が待っている。
最後の最後まで読ませるミステリー。

この作品は著者が初めて描いた、誘拐ミステリー。
一筋縄ではいかない展開に目が離せない!

小学生の娘が誘拐され、犯人から身代金要求の
電話が入った。
1億円を要求を受けた父親は、その電話で
前代未聞のセリフを言い放った!
「断る!」
そこにいた警察官たちは、あまりのことに
絶句した。

それから十年後、推理作家を目指す君原樹来の
元へ、妹の麻亜知から友人のトラブルに
ついて、元県警捜査一課の刑事だった祖父に
相談したいと言ってきた。

樹来は、この祖父を尊敬しこれまでに
様々ことを相談してきていた。
妹の友人であれば断れない。
早速3人で祖父の元へ向かった。

妹の友人・葛木夕夏は、十年前叔父に誘拐された
ことがあった。
ただ、記憶を失った時間があっただけで、これといった
被害はなく当時は身内のトラブルで片付けらていた。

しかし、最近になって警視庁が再捜査に
乗り出してきたらしい。
夕夏を待ち伏せし、十年前の事件について
色々と聞かれたとのことだった。

夕夏が誘拐された同じころ、男児も誘拐された
ことが判明。先日その白骨死体が発見されたのだ。
どうやら、それが関係しているようだ。

夕夏の叔父は誘拐事件のあと行方不明になり、
その後、夕夏の父と母は誘拐事件が原因で
不仲となり、その後母は自殺してしまった。

家族の崩壊、母の死。次々と悲劇が襲った
葛木夕夏。それでも必死に生きている。
そんな友人を放っておけない、麻亜知。

妹の友人のため、樹来は密かに警視庁
捜査一課の中村と連絡をとり、事件解明を試みるが….。

夕夏の誘拐事件と誘拐され殺害された男児と
どのような関係があるのか?

謎に彩られた2つの誘拐事件、
複雑に絡み合う人間関係は
練りに練られた展開で読んでいると
翻弄されてしまう。

そして彼らがたどり着いた真相に
度肝を抜かれる!

この結末にしてやられる、驚天動地の誘拐ミステリー。

『消えた断章』
著者:深木章子
出版社:光文社
価格:¥1,700(税別)