定年まであと8年!事件を呼ぶ男、ベテラン刑事・岩倉剛シリーズ最新作「迷路の始まり」

堂場瞬一さんの警察小説新シリーズ第3弾
「迷路の始まり ラストライン3」を読了。

定年まであと8年のベテラン刑事・岩倉剛。
突出した記憶力の持ち主。
そして行く先々で事件が起こる。
通称「事件を呼ぶ男」。
しかし、彼の能力と鋭い刑事の勘で、
迷走しかけた捜査に解決の道筋が見えてくる。

南大田署管内で、殺人事件が発生した。
殺された男は、精密機械メーカーに
勤務する、島岡という男だった。
初動の捜査では事件の発端になるものは
見つからず、通り魔事件ではないかという
見方に傾いた。

警察にとって通り魔事件ほどやっかいな
事件はない。岩倉とコンビを組んだ
捜査一課の顔見知りの刑事・田澤は、岩倉に
思わず「嫌な事件ですね」とつぶやく。

通り魔事件だとしても被害者にの身辺調査
は必要だ。田澤と二人で念のため潰すべき
事柄はすべて潰しておかねばならない。

捜査の過程で次第に明らかになる被害者の素顔。

そんな時、新たに殺人事件が起こる。
目黒中央署管内で発生した事件の被害者は、
シンクタンクに勤めつつ、経済評論家としても
テレビに出演している、藤原美沙という女性だった。

岩倉たちが島岡の女性関係を調べていると
藤原美沙と接点があることが浮上してきた!

その件を上司の柏木に進言したが、あくまでも
通り魔事件にこだわる柏木。

ところが捜査が進展し、二人の関係が明らかに
なると合同の捜査本部が設置された。
捜査本部内では岩倉の意見と捜査本部内の
意見が対立。岩倉は捜査から外されてしまう。

しかし、岩倉は逆にチャンスととらえ独自に
捜査を進める。
事件の真相が徐々に明らかになる中、
得体の知れない組織が浮上してきた。

岩倉が真相を突き止めようと必死に捜査する
過程で図らずも掘り当ててしまったもの・・・。
それは一体何なのか?
その不気味さにざわつく・・・。

タイトルの通り、迷走しそうな予感。

今回の上司・柏木は岩倉に対して何らかの
思いを抱いている。「うわ!器、小さい!」
と思ってしまった。出来る男は上司に煙たがられる。
その描き方が本当にリアル。

堂場作品ファンならば、多分すぐにわかる!
他のシリーズの登場人物が度々顔を出す。
(主にスマホの会話だけど)このおまけが良くて
毎回にやけてしまいます。

岩倉刑事の最初の相棒・伊藤彩香は機動捜査隊
に所属、頼もしく成長!さらに、今回
遠距離になった恋人・実里とはどうなるのか?

シリーズ4巻目が待ち遠しい!

『迷路の始まり ラストライン3』
著者:堂場瞬一
出版社:文藝春秋
価格:¥790(税別)