珠玉の警察小説アンソロジー『刑事の灯』

好きな警察小説作家さんたちの名前が
目に留まり、思わず買ってしまいました。
『刑事の灯』(双葉社文庫)
麻見和史さん、沢村鐵さん、藤崎翔さん、吉川英梨さん。

ワクワクしながら読みました。

1『星の傷痕』麻見和史

刑事なのに「黒星」という苗字にいつも
からかわれる、黒星達成。
変死体が出たと臨場要請があり現場へ到着すると、
男性の遺体には、星の形をした傷痕があった。
猟奇殺人なのか?
捜査は難航するな・・・と思った黒星とコンビを
組んだのは、元気な女性警官・白石雪乃だった。
雪乃の前向きな捜査で、意外な真実が明らかになる。

2『道案内 警視庁捜査一課・小野瀬遥の黄昏事件簿』沢村鐵

このタイトルをみると「警視庁墨田署刑事課特命担当・一柳美結」
とか「クラン警視庁捜査一課・晴山旭の密命」を彷彿させる。
不可解な女児誘拐事件が発生!
捜査会議では晴山旭主任刑事が焦りを募らせていた。
新人刑事の小野瀬遥は、警察組織存続の危機を招いた
重大事件を解決に導いた一人が晴山旭だと聞いて
いたので、そのギャップにちょっと面食らっていた。
晴山のために少しでも早く子どもを見つけたい・・・。
そんな遥はある日不思議な派出所に行きつく。
そこで出会った若き警官に「女の子は必ず見つかる」と
励まされるが・・・・。
この話、「クラン」シリーズを最後まで読んでいると
警官が誰なのか?わかるはず!

3『読心刑事・神尾瑠美』藤崎翔

藤崎さんは、元芸人ということもあり、とても
面白いミステリー小説を描く。
今回は人の心が読めてしまう女性刑事が主人公。
その女性刑事がいる班へと異動させられた
根津刑事の苦悩・・・。そして、
読心術ですでに事件の犯人がわかっているけれど、
証拠がない。どうする!?
事件解決へのストーリーがユーモアたっぷりに
描かれる。

4『ファーストレディの黒子』吉川英梨

総理大臣の妻が、部下の男と密会中腹上死した。
連絡を受けた「十三階」の古池は、上司の栗原に
スキャンダルを避け、ファーストレディの
死を「名もなき戦士団」のテロに見せかけるよう
指示される。その助っ人に古池が選んだのは、
公安一課三係長・広田達也だった。
なんと「十三階」シリーズと「原麻希」シリーズの
コラボだ!ファンにはたまりません!
そして二人が暴いた真実にぶっ飛ぶ。

短編だからこそ描けた、作家さんからファンへの
サービス精神てんこ盛りのアンソロジー集です。

『刑事の灯』
著者:麻見和史・沢村鐵・藤崎翔・吉川英梨
出版社:双葉社(文庫)
価格:¥600(税別)