天久鷹央シリーズ長編第2弾「幻影の手術室」がたまらなく面白い!

天久鷹央シリーズの長編ものです。
短編も面白いのですが、長編好きにはたまりません!
読み始めたらすっかりはまってしまいました。

外科医を辞め、内科医として新たな
道に進もうと、天医会総合病院に勤務
する小鳥遊(たかなし)優。
空気が読めず、人とコミュニケーション
をとることが苦手、しかし日本最高峰の
頭脳を持つ天才女医、天久鷹央。

この二人は、警察に協力し多数の難事件を
解決に導いている。
だが、警察は必ずしも二人の協力を喜んではいない。
なぜならば、警察を無視し天久が勝手に
動き出すからだ。
それを止めるのは小鳥遊だが、天久が事件に首を
突っ込んだら絶対に最後の最後までやり通す!
警察にしてみれば、迷惑この上ない話だが、
結局鮮やかに事件の真相を暴くのはいつも、天久鷹央だ。
彼女は「謎」を解決するのが生きる喜びなのだ。

そんな二人の元へまたしても不可解な殺人
事件のニュースが飛び込んできた!
天医会総合病院とも関わりの深い、清和総合
病院の手術室で麻酔医が変死した。
記録用のビデオには、見えない誰かと必死に
格闘しその末に絶命した麻酔医の姿が映っていた。

手術室は密室になっていて、他の人間がいたと
という事実はない。
当時、その手術室にいたのは術後の全身麻酔で
身動きのとれない患者のみ。

しかし、警察はビデオに映っていた麻酔医の
奇行を一切捜査せず、そこにいた術後の
患者が容疑濃厚とし、病室の監視を始める。

その患者とは、天医会総合病院の統括診断部
で勤務する予定の研修医・鴻ノ池舞だった。

天久は舞にかかった容疑を晴らすため、
小鳥遊を清和総合病院に派遣することを
思いつく。

またまた天久の強引極まりない行動に
振り回される小鳥遊だったが、今回だけは
納得して清和総合病院の勤務についた。

回診のふりをして舞の病室で話を聞く小鳥遊。
そして、他の医者からも殺された
麻酔医のことをさりげなく聞いた。

さらにこの病院では、奇怪なことが起こっていた。
透明人間が現れる。カートがひとりでに動く。
ドアが勝手に開く・・・などなど。

天久は病院内で起こったことについて
様々な角度から推理を広げてゆく。

その手術室でいったい何が起こっていたのか?
そして、麻酔医を殺害したのは誰なのか?

詳細に実にリアルに描かれる事件の様相。

そしてバラバラだと思われた怪奇事件が
一つに繋がると思わぬ真相が見えてきた!

現役医師だからこそ描けた!なるほど
そういうことだったのか!!!
膝を打ちたくなるほど見事な解明。

素晴らしい!面白いとしか言いようがない
傑作医療ミステリー。

次の「甦る殺人者」も楽しみ!

『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』
著者:知念実希人
出版社:新潮社(新潮文庫nex)
価格:¥590(税別)