弁護士・御子柴礼司シリーズ最新作「復讐の協奏曲」

中山七里さんの作品の中で一番
好きなシリーズ。
少女を惨殺した過去を持つ、弁護士・
御子柴礼司。
悪名高い弁護士、高額な弁護費用、
裁判に勝つためならどんなあくどい手も使う。
しかし、御子柴は少しずつ変化してゆく。
シリーズ5作目は、信頼する事務員、
洋子がピンチに陥る!!!

弁護士・御子柴は、過去に少女を惨殺し
「死体配達人」と呼ばれていた。
その過去を自ら公にして、今も弁護士を
続けている。

ある日、御子柴は
「この国のジャスティス」と名乗る者が
SNSで御子柴の過去をあげつらい、
懲戒請求を出すように煽っている
という事実を知らされる。
そのせいで、八百人以上からそれらしき
封書が届いた。

その処理に忙殺される中、御子柴事務所の
事務員、洋子が殺人容疑で逮捕された。
被害者は、外資系コンサルタントの男だ。
洋子は男が殺された夜、その男と会っていた。
さらに、凶器には洋子の指紋が残っていた
らしい。

御子柴はすぐさま、洋子の弁護人を
かって出る。

洋子の代わりに懲戒請求の処理の助っ人に
来たのはなんと!御子柴を敵視する
弁護士の宝来だった。
宝来は、御子柴に自分が「この国
のジャスティス」の正体を突き止める
と言い出す。

御子柴が、被害者の男の周辺を洗い出すと
きな臭い事実が浮上する。
さらに洋子の過去を調べると、洋子が
御子柴と同じ地域の出身であることが
明らかになる。

洋子は御子柴の過去の所業を知っているはずだ。
それなのになぜ共に働くことを望んだのか?
御子柴の心に洋子に対する疑惑が広がると
同時に洋子のことを何も知らなかったと気づく・・・。

いくつもの事件、事実が同時並行
で動きながら、次第に真相へと近づく。
その展開は相変わらずの面白さだ。

今回も「凶器に指紋」という決定的
証拠が洋子の容疑を色濃くしている。
そんな不利の状況で、洋子の無実
を晴らすことが出来るのか?

終盤、御子柴の疑問に答えた洋子の
言葉がとても印象に残る。

シリーズを重ねるたびに御子柴の心が
変化してゆく。
次回作も楽しみ!

『復讐の協奏曲』
著者:中山七里
出版社:講談社
価格:¥1,600(税別)