探偵・海老原浩一シリーズ「怨み籠の密室」

小島正樹さんの文庫新刊「怨み籠の密室」
を読みました。
心優しき探偵・海老原浩一が登場する
シリーズ8作目となります。

家族の愛が悲劇に繋がってしまった
事件。胸が締め付けられる。

飛渡優哉は、父が死の間際に
残した言葉が気になった。
「謂名村・・・殺され・・・」
優哉が4歳の時、母は謂名村で
亡くなっていた。
もしかしたら、母は何者かに
殺されたのか?父はそれを伝えようと
したのか?
母の死の真相を探るため、優哉は
一人謂名村へ向かう。
しかし、その村の住民たちは皆
優哉に冷たかった。
誰もが父母のことについて口を
閉ざした。
たった一人、「逆らってはいけいない
人に逆らった」と教えてくれた。

この状況に耐えきれず、優哉は、
過去に自分を救ってくれた、
探偵・海老原浩一に助けを求めた。

そんな時、村の焼き物工房で首吊り
死体が発見される。
それは、優哉の母がかつて勤めて
いた工房の主の妻だった・・・。

優哉の父母の過去、彼らをとりまく家族の悲劇。
封建的な村だからこそ起きてしまった数々の隠蔽。
そして、明らかになる優哉の母の死の真相。

海老原の推理により解き明かされた
真相はあまりにも悲劇的だった。

そして、緻密な密室トリックに驚嘆する!

海老原のさりげない優しさが際立った本作。
数奇な運命に翻弄された青年の心を癒す。

『怨み籠の密室』
著者:小島正樹
出版社:双葉社(文庫)
価格:¥740(税別)