新卒採用がミステリーに!「六人の嘘つきな大学生」

話題沸騰、浅倉秋成さんの
「六人の嘘つきな大学生」を読みました。

今後の人生のすべてが決まってしまう
就活。企業の新卒採用のシステムに
翻弄される学生たちの姿が印象深い。

学生が憧れる、新進気鋭のIT企業
「スピラリンクス」。
初めて行う新卒採用で最終選考に
残った六人の男女。

その六人の就活生に与えられた課題は、
一か月後までにチームを作りあげ、
ディスカッションをするというもの。
六人全員で内定を勝ち取るため、
波多野翔吾は五人の学生たちと
励まし合い交流を深めてゆく。
チームもまとまり、ディカッションの
テーマも決まり、残すは当日に課題を
やり遂げる!というところまできた。

ところが、直前に課題の変更が!
それは「六人に中から一人の内定者を
決める」こと。
信頼し合える仲間だったはずの六人は、
一つの椅子を奪い合うライバルとなってしまった!

内定をかけた議論が進む中で、奇妙な
封筒が発見された!
その中から個人名の書かれた六通の封筒が出現。
それは、六人の罪を暴く告発文だった!
六人の罪とは?告発者は?その目的とは?

告発文を巡る息詰まる心理戦!
そのディスカッションを中心に
目まぐるしく変わる展開。
登場人物たちの人間像。
それらが絡み合い、グイグイと
引っ張られてゆく!
ミステリー小説の面白さが存分に味わえる。

しかし、この本を読んで日本特有の
就活の在り方に疑問を抱いてしまった。

企業の面接は、人間のどの部分を評価
して、合否を決めているのか?
何が正解なのか、わからない。
これも日本社会の一つの問題点ではないかな
と思ってしまった。

『六人の嘘つきな大学生』
著者:浅倉秋成
出版社:KADOKAWA
価格:¥1,600(税別)