仰天展開のホラーミステリー「祟り火の一族」

今年の夏の異常な暑さ!
こんなときはホラーだ!ということで、
おどろおどろしい装丁に惹かれ、
小島正樹さんの「祟り火の一族」(双葉社)
を読んでみました。初読みの作家さんです。

劇団員の明爽子は、身体中に包帯を巻かれた男に、
怪談を語り聞かせるというアルバイトをやっていた。

「殺したはずの女が甦り、のっぺらぼうが林に立つ。」
「河童、魚人、まだらの妖怪!?」・・・
不気味な怪談を聞き苦しげに唸る男。
彼にとってこの怪談には何の意味があるのか?

男とその怪談事態に興味を持った明爽子は、学生時代の
後輩・浜中刑事と名探偵・海老原とともに捜査に乗り出す。

アルバイト先から出てきた若い男性を尾行してゆくと、
ある廃鉱山に辿りつく。そこでは、連続殺人事件が起きて
いたことが判明する・・・。

海老原の推理により、解き明かされる真実。
そこから浮かび上がる「火に祟られた一族」の宿命。
複雑に絡み合った人間関係と、その一族の愛憎劇に
深い因縁を感じる。

横溝正史に似た世界観と、奇想天外なトリックが
読者を翻弄!
真相解明に至るプロセスは、面白すぎて
止まらない。

また、駐在の巡査になりたくて警察官になったのに
運がいいのか悪いのか?なぜか凶悪事件を解決に
導いてしまう心優しき浜中刑事。そして、
頭脳明晰な名探偵・海老原の魅力が光ります!
彼らの語り口が、暗く哀しい物語を柔らかくしている。

シリーズになっているようなので、続けて読んでいきたい!

『祟り火の一族』
著者:小島正樹
出版社:双葉社
価格:単行本¥1,700(税別)
文庫¥722(税別)