乱歩賞作家・川瀬七緒氏が描く新たなる警察ミステリー

昨年、「よろずのことに気をつけよ」で江戸川乱歩賞を受賞した、川瀬七緒さんの受賞後第1作目が発売になりました!『147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官』(講談社)です。
乱歩賞受賞作『よろずのことに気をつけよ』は乱歩賞受賞作らしい内容で、面白かったです。
そしてこの最新刊はさらに面白いです。

新たに文庫で登場!
タイトルも「法医昆虫学捜査官」と変更になりました!

法医昆虫学

最近の警察小説やドラマは、刑事さんだけでなく‘鑑識’をテーマにした作品が出来るくらい、鑑識さんの仕事は注目されています。
事件現場で採取されるあらゆる物証から、死因、死亡推定時刻、身元etcを明らかにしていく。
日本の高度な科学捜査が早期の事件解決につながる・・・。
この『147ヘルツの警鐘』は、その鑑識にさらに昆虫博士が加わりより詳細な捜査を行うというもの。
焼けたアパートから女性の焼死体が発見された。
早速、検屍することになる。が、遺体の腸らしきものから、ありえない大きさの虫が出現!遺体は黒焦げになり、性別も判別できない状態だったのに、発見されたその大きな虫は生きていたのだ!
この衝撃の事態に、検死官は死因も死亡推定時刻もはっきり断定できない。
捜査が難航すると判断した捜査本部は、初めて法医昆虫学者を捜査に加えることにした。
その法医昆虫学者とともに捜査をすることになった岩楯警部補。
初めてのことに困惑するが、その女性昆虫学者の熱意と妙に明るい性格に助けられ、次第に事件の真相に近づいていく・・・。
警察ミステリーとしては昆虫の生態から事件の真実に迫るという、いままでにない設定で非常に面白い。
さらに登場人物がとても魅力的かつ生き生きと描かれているため、虫、さらに殺人事件の捜査という暗くなりがちな作品なのにネガティブな気持ちにならない。
岩楯警部補と女性昆虫学者・赤堀とのコンビがとても良い感じで描かれいるし、このコンビの事件、また読みたいと思わせる!!
シリーズ化期待してしまいそうなくらい面白かったです。
『法医昆虫学捜査官』
著者: 川瀬七緒
出版社:講談社(文庫)
価格:¥770(税別)