異色の後宮ミステリー登場!「後宮の検屍女官」

第6回角川文庫キャラクター小説大賞
〈大賞〉&〈読者賞〉W受賞作
「後宮の検屍女官」を読みました。

後宮小説は、恋愛もの、ホラーもの
ミステリーなど、たくさん発売されて
いますが、後宮内で発見された変死体を
検屍し、事件の謎を解いてゆくという
物語は、意表を突く斬新さ!
さらに、キャラクター賞を受賞しただけ
あって、登場人物のキャラクター造形が
秀逸。魅力的なキャラたちの動きで
面白さが際立っています。

舞台は大光帝国の後宮。
謀殺されたと噂の妃嬪の棺の中から
赤子の遺体が発見された。
亡くなった妃嬪が暮らした三区には
「死王」が出たとあらぬ噂が広がっていた。

皇后から騒ぎの沈静化を依頼された、
美貌の宦官・孫延明は、噂の真相を
探るため三区の警備を徹底する。

その警備のため、他の妃嬪の侍女たちも
集められた。
警備の男性、宦官、そして侍女たちは
皆一様に「死王」に怯え警備どころではない。
そんな中、延明は一人の侍女に注目した。
居眠りをしていた肝の据わった侍女・桃花。
亡くなった妃をいじめていたとされる
帝の寵姫・梅しょうよの侍女だった。

花のように愛らしいその姿とは裏腹に
出世や野心とは無縁のぐうたら侍女。
しかし、彼女には特別の才能があった。

桃花は遺体を前にすると覚醒する。
祖父から受け継がれた、検屍術の
心得があったのだ。

亡くなった妃嬪の関係者が次々と変死する。
異様な状況に陥った後宮。
うずまくどす黒い陰謀、疑惑と謎。
事件の真相を暴くため、延明と
桃花は、死者の声を聴くことに・・・。

宦官にならざるを得なかった延明の苦悩と孤独、
その苦悩を受け、延明の心を癒す桃花。

二人はいがみ合いながらもお互いを
リスペクトし、後宮に巣くう闇を白日の下に晒す!

絶対にシリーズ化して欲しい!後宮ミステリの
決定版。

『後宮の検屍女官』
著者:小野はるか
出版社:KADOKAWA(文庫)
価格:¥660(¥600+税)