異色の逃亡サスペンス!「レフトハンド・ブラザーフッド」

知念実希人さんの文庫最新刊
「レフトハンド・ブラザーフッド上下」
(文春文庫)を読了。

左手に亡くなった双子の兄の魂が宿った
高校生の男の子が、違法ドラッグに
関係する事件に巻き込まれる!
ハラハラしっ放しの上下巻!

ある事故がきっかけで「エイリアンハンド
シンドローム」(他人の手症候群)を患った
高校生・岳士。
彼の左手には、亡くなった双子の兄・海斗
の人格が宿るようになった。

その症状を病院で訴えると、入院で
治療すると言われた。
兄の人格を消されるのを恐れた
岳士は、家出を決行する。

左手の兄に叱咤激励されながら必死で
東京に向かう岳士。
だが、その途中で殺人事件に巻き込まれて
しまう。
被害者に触れたところをホームレスに目撃され、
容疑者として追われるはめに!
容疑を晴らすためには、自分たちで真犯人
を突き止めるしかないと兄にアドバイスされた
岳士は、偽の身分を取得し隠れて真相を
追うことに。

被害者は、違法ドラッグの調査をしていたようだ。
兄の提案で、違法ドラッグの密売組織に潜入した
岳士。得意のボクシングと頭脳明晰な兄の
助言で数々の修羅場をくぐり抜ける。
やがて、岳士は「サファイア」と呼ばれる
危険ドラッグを製造する「錬金術師」の正体
に近づいてゆく。

岳士は、事故の苦しみや、兄へのコンプレックス
そして、謎の美女に対する恋心に悩み、
危険ドラッグに手を出してしまう・・・。
海斗は必至に止めるが、岳士耳を貸さなく
なってしまった。

そんな中、二人に最大の危機が訪れる!

容疑者として逃亡する日々にもうハラハラ。
その展開に読みだしたら止まらない。

ただの逃亡サスペンスではなく、主人公が
「他人の手症候群」という病でその手が
逃亡の相棒という設定が、物語に強烈な
インパクトを与えていて、とても面白い。

そして怒涛のクライマックスは圧巻!
兄弟の絆の深さ、弟を想う兄の優しさ
厳しさも描かれ、切ないラストに涙腺が緩む。

『レフトハンド・ブラザーフッド 上下』
著者:知念実希人
出版社:文藝春秋(文庫)
価格:上巻¥715(¥650+税)下巻¥682(¥620+税)