幻惑のアンソロジー集「惑 まどう」

「迷」に続き「惑」をテーマにした
短編小説集。
「惑」は「迷」よりさらに読者を
惑わせる短編が多くワクワクする!

子どもに絵本の良き聞かせをしていた男性。
絵本を読みながら、過去の出来事が気になりだす。
それは同僚が致命的なミスを犯した事件だった・・・。
気になりだしたことを調べてゆくと、
意外な真相にたどり着く。
「かもしれない」大崎梢

誰にも言えない悩みを抱えた僕は、杖をついて
歩く少女と出会った。その少女との
出会いが、僕の人生を変えてゆく・・・。
切ないまでの片想い。涙腺崩壊のラスト。
「砂糖壺は空っぽ」加納朋子

宇宙人からの相談事を持ち掛けられたと
言う小学3年生の男の子。中学生の僕は
心配になって一緒に行動することに・・・。
そうしたら、とんでもない事件に
巻き込まれた・・・。とんでも事件は、
甘酸っぱい恋の予感に・・・。
「惑星Xからの侵略」松尾由美

自らを名探偵と名乗る、多岐川深青の
探偵人生はある男の出現によって狂わされる。
それは、カスパロフとの契約。
多岐川はどんな事件に遭遇するのか?
名探偵としての名声が続くのか?
短いストーリーの中に謎が盛りだくさん!
「迷探偵誕生」法月綸太郎

童話や、昔話に新たな解釈を加え
変形ミステリに。「ヘンゼルとグレーテル」
「座敷童子」「マヨイガ」をベースに
不気味なサスペンスミステリに!
それぞれが独特の世界観でとても面白い!
「ヘンゼルと魔女」「赤い椀」「喫茶マヨイガ」光原百合

90歳を過ぎ、死の床にあった男の前に
死神が現れる。そして、死ぬ前に願い事を
叶えるという。男が願ったこととは・・・。
このラストは泣ける!
「最後の望み」矢崎存美

姉を慕う妹、異母妹を溺愛する姉・・・。
一見、とても微笑ましい関係に見えるが、
その関係性がいっきに崩れる衝撃展開!
思わず「うわ~ッ」と感じた。
「太陽と月が星になる」永嶋恵美

火事のニュースで夫・竜崎は早速
出かけて行った。
妻の冴子は、そのニュースの中の
ある一言が気になった。
何が気になったのか?自分でも
はっきりつかめないが、とても重要なことだ。
警察官の夫に事件のことで口出しするのは
ご法度だと思っているが・・・。
難事件解決に一役買った妻の「内助の功」
を描いた逸品!
「内助」今野敏

作家さんそれぞれの持ち味が生かされた
作品の数々に酔いしれる。

『アミの会(仮)惑 まどう』
著者:大崎梢/加納朋子/今野敏/永嶋恵美/法月綸太郎/松尾由美/光原百合/矢崎存美
出版社:実業之日本社(文庫)
価格:¥836(本体¥760+税)