女子高生捜査官の活躍!「相棒はJK」第2弾「テロリストにも愛を」

「巡査長 真行寺弘道」(中公文庫)、
「DASPA 吉良大介」(小学館)
など、社会派ミステリーを描く、
榎本憲男さんの新刊です。
女子高生捜査官が主人公の「相棒はJK」
第2弾が出ました。やった!シリーズ化!
「テロリストにも愛を」読了。

警視庁刑事部刑事部長から直々に声を
かけられ、刑事部長直轄の組織・
刑事部捜査第一課特命捜査係へ異動となった、
キャリア組の中でも「超」がつくエリート・
鴨下俊介警部補は、なんと!女子高生捜査官・
花比良真理(しんり)とバディを組むことに!

女性失踪事件を解決し、一段落した現在でも
女子高生が事件の捜査をするなんて、
警察組織がそんなことを許すなんて
言語道断!と納得できていない。

しかし、真理の本当の能力を知ってから、
時にこれでいいのかと疑問を持ちつつも
真理とバディを組むことを受け入れようとしていた。

特命捜査係に公安から捜査協力の依頼があった。
実は、日本の総理大臣がエジプトを訪問
した際にIG(イスラム過激派テロ)を刺激する
演説をしてしまい、その演説に反応した
IGがとんでもない画像をネットにあげた。
日本のジャーナリストを誘拐・拘束し
日本政府に身代金の支払いを命じるという
とんでもない動画だった。
その対策を練るための協力要請のようだ。

ところが、この難題に頭を突っ込んできたのが、
鴨下のガールフレンドで記者の愛里沙の
上司・沢渡だった。彼は過去にIGに潜入
したことがあり、IGのことをよく知っていた。

そして、沢渡はテレビにゲスト出演し、
自分がIGと交渉して、日本人ジャーナリストを
救出すると言った。

このくだりは、「九時のニュースはみんなで」の
章で詳しく語られている。
この章は、欧米・日本VSIG(イスラム過激派テロ)の
構図が非常によくわかるように描いてあるので、
モヤっとしたことがクリアになる感覚だった。

日本でテロを目論むイスラム過激派。
彼らの暴挙を、鴨下&真理率いる特命捜査係
阻止できるのか?

今回は、特命捜査係の女性スナイパー・
吉住かなえが、かっこよく活躍する。

また、日本に潜むテロリストとの息詰まる
攻防戦も読み応えあり。

鴨下・真理の距離も少しづつ縮まってゆく感じ。
鴨下、いろいろ言っているけれど、真理を心配
しているところ、良いなあと思った。

今作もなかなか難しいテーマを扱っているけれど
とても面白かった!
こういうテーマをきちんと描いてくれる、
榎本さんに感謝です。

『テロリストにも愛を』
著者:榎本憲男
出版社:角川春樹事務所(ハルキ文庫)
価格:¥902(本体¥820+税)