現代日常の‘歪み’をえぐる!傑作短編ミステリー「#真相をお話しします」

結城真一郎さんの「#真相をお話しします」(新潮社)読了。

現代日常に潜む小さな「歪み」をテーマに、斬新な
謎を仕掛けた。
どこまでも読み手を翻弄する、最先端のミステリー集。

家庭教師を斡旋する会社のアルバイト学生は、
面談の予約を受けている家を訪問するが、母親の
不可解な行動と子どもに出した簡単な計算の答えを
見て異変に気付く・・・・。
「惨者面談」

娘が大量にブランド品を持っていた、最近外泊が多い?
もしかして「マッチングアプリ」?本当にそうだと
したら、やめさせなければ・・・・父親がとった仰天行動とは?
「ヤリモク」

不妊に悩む夫婦。ようやく授かった我が子。しかし
そこへ「あなたの精子提供によって生まれた子ども
です」と名乗る娘が現れる。ところがそこから意外な
真実が浮かび上がる。
「パンドラ」

仲の良い仲間で、5年ぶりにリモート飲み会を始めた。
3人はそれぞれ、関西と関東に住んでいる。
良い調子で飲みながら近況を語っていたのに、次第に
不穏な空気が流れ始める・・・。この3人の間に
一体何が起こったのか?
「三角奸計」

子どもが4人しかいない島で、彼らは「IPHONE」を
手に入れ「ゆーちゅーばー」になることに。しかし
ある事件をきっかけに島の人たちがよそよそしくなってゆく・・・。
第74回日本推理作家協会賞受賞作。
「#拡散希望」

現代日本社会の日常のワンシーンを切り取り、そこに
緻密で多彩な罠を仕掛けた。
物語の途中まではこういうことかな~と思わせつつ
ラストで鮮やかに裏切られる。
そうか!そういうことだったのかと、思わず唸ってしまう。

日常の何気ない出来事がテーマだからこそ、
身近に起こるかもしれないと思わせるリアル感が凄い。

短編だからこそ出来る、ミステリーの面白さが
際立っている。

『#真相をお話しします』
著者:結城真一郎
出版社:新潮社
価格:1,705円 (本体1,550円+税)