宮部みゆき『ソロモンの偽証 第Ⅲ部』衝撃の展開でした!

『ソロモンの偽証』第Ⅱ部‘決意’からとうとう、学校内裁判をすることのなった、第Ⅲ部‘法廷’です。中学生の学校内裁判!?裁判ごっこか!と突っ込むシーンもありますが、凄い法廷劇です。

柏木卓也が学校の屋上から転落死し、当初は自殺かと思われた。
しかし、「柏木くんは殺された」との告発文が登場し、さらにその告発文がマスコミにも漏れ、学校内は大変な事態に。

弁護側、検事側がそれぞれ証人を読んで尋問するシーンは、とても中学生の裁判とは思えないほどの展開。
そして、証人の発言で、被告とされる生徒の背景や家庭問題、転落死した柏木卓也の素顔が明らかになっていく。
果たして、被告は本当に柏木卓也を転落死させたのか?真実はどこにあるのか・・・?
次第に事件の全体像が見えていく中、検事側が召喚した最後の証人に法廷全体が凍りつく・・・。
禁じ手を使って証言台に立つ、最後の証人は何を語るのか・・・・!

読んでるときあまりの面白さに、途中で止めるのが困難なほど。
中学生の法廷劇とはいえ、本格的な法廷小説を読んでいるようだった。
中学生が大人相手にぐいぐい迫っていくシーンは圧巻。
どんな結末にしろ、中学生の目線で事件の決着をみるが、出し尽くされたすべての証言から得た判決は衝撃的だった。
しかしさわやかな終わり方だった。
また、ミステリーでありつつ、常に親子、教師と生徒、友情という別のテーマもあったのではないかと思う。
長編ながら読み出したらとまらない、長さを感じさせない宮部さんの手腕に今回も脱帽です。

『ソロモンの偽証 第Ⅲ部』
著者:宮部みゆき
出版社:新潮社
価格¥1,800(税別)