へんな事件!?が回ってくる!文庫書き下ろし『中継刑事』鳴海章

乱歩賞作家・鳴海章さんの文庫書き下ろし『中継刑事 なかつぎデカ』(講談社)を読みました。
渋い!この渋さ好きです。
警察小説はこうでないと!と思わせる。渋い作品。

4年前の女子高生転落事件が、ネット上の書き込みが発端で再燃!他殺を示唆するものだった。その書き込みが、名門女子高を揺るがすスキャンダルに。
そして、捜査をせざる負えなくなった貴沙浦署が、事件の担当にしたのは、‘中継’専門の捜査第五係りだった・・・。
一係、二係、四係、そして生活安全課もどこも手を出さない事件は五係に回ってくるのだ。
その女子高生転落事件の再捜査の話をもちかけてきたのは、第五係の荻生刑事の元妻だった。彼女はテレビのキャスターでコーナーを持っているらしい。
そこへ4年前に起きた転落事件は、実は他殺だったとの書き込みがあったといのだ。
事件の担当となった、荻生はその名門女子高校から調べ始める。
捜査が進むにつれ、荻生刑事はタブーとされている領域に足を踏み入れていく・・・。

危険と知りつつ刑事の勘で徐々に事件の真相に近づいていく荻生。その危うさが読み手にも伝わってくる、リアルさ。小説全体にもやがかかったような感覚は、主人公の気持ちとリンクしている?

今まで読んだ警察小説とは一線を画する、最新の警察小説シリーズ第一弾です。

『中継刑事 捜査五係申し送りファイル』
著者: 鳴海章
出版社:講談社
価格:¥648(税別)